太った

 最近、会う人ごとに太った、太ったと言われる。

 京都から東京に戻ってひさしぶりに会う人が多いせいもあるが、それでも太ったという事実に変わりはない。いや、一昨日会った人はせいぜい半年ぶりで、その人からも「太った」と言われたから、ここしばらくの間に坂を転がり落ちているらしい。少し前に鏡を見たとき、顎を引くと二重顎になることを発見して、これはおれにとっては驚愕の事実であった。

 中年が太る原因というのは、食べる量とか運動量の問題もあるのだろうが、根本的には若いときと比べて細胞の代謝が落ちることが原因らしい。若い頃には細胞が大量のエネルギーを得てもそれをガンガン燃焼する。しかし、年を取ると細胞がだらけ出して、あんまりエネルギーを使わず、余った分を蓄積するらしい。これすなわちデブ化である。会社の歴史なんかにも似たところがありますね。

 若い頃はダイエットなんぞ無縁で、「痩せたきゃ食わなきゃいいじゃん」などとうそぶいていた。しかし、いざ自分の目の前に「デブ」の二文字がちらつき出すと、なかなかツラいものがある。やはり、食わないと腹が減るし、腹が減るというのは不快なものだ。まあ、運動してカロリーを消費しなさいというのが正論、今のスリランカなのだろうが、それもねえ。このおれ様が運動。スポーツクラブ。ジョギング。iPod。沽券に関わる。というか、ナマコやフジツボが運動していいものなのか。

 さて、どうしよう。身の細るような恋でもすればいいのかな。