痰壺男

 今日はいささか汚い話なので、その手のことが苦手な方はご容赦いただきたい。

 年末からひいている風邪がなかなか抜けない。どうにもならないというほどでもないのだが、何となくはじけない感じである。

 今は痰がやたらとからむ段階でで、これが来るとたいがいもうすぐ直る。しかし、この痰がなかなか煩わしい。四六時中ごろごろしていて、咳をしてもなかなか切れない感じである。夜寝ている間もごろごろと絡み、自分のした咳で目が覚めるときもある。起き抜けには痰が気管支のあたりにどっさりとたまっており、吐くと、緑がかった黄色い痰が半ば固まったような状態で出てくる。一晩の間に喉で古びて固まったのだろう。

 しかし、汚い話だな。申し訳ない。自分で書いていてもあまりいい心持ちのものではない。

 痰をティッシュペーパーに吐き出した後、わたしはいつもその色と量をチェックする癖がある。痰の正体は呼吸器や気管支から出る粘液なんだそうで、黄色い痰は、膿がそうであるように、白血球が風邪の菌と抱き合い心中した結果なのだろう。呼吸器に侵入しようとする異物を痰で絡め取って外にはき出そうとしているわけで、黄色いゾルまたはゲルを眺めながら、そういう人体の仕組みには「よくできているなあ」と不思議の念を抱く。原初の地球の物質間の化学的つながりを放っておいたらどんどん勝手に複雑化・多機能化して異物を粘液で絡めて放り出す仕組みもできあがり今こうやって間抜けづらした男がティッシュに痰をクワーッペッと吐き出してつくづく眺めているというのはいかにも不思議なことではないか。

 前に風邪をひいたときにも同じようなことを書いた覚えがあるな。相変わらず進歩というものがない。

 新年最初のブログが痰の話となった。出だしからダメの予感が漂うが、まあ、馬鹿にふさわしい出だしということなのだろう。