体の部位と音楽と

 では、音楽を体の部位と結びつけるとどうなるだろうか。

 YMOは先に書いたように典型的な「頭」に来る音楽だろう。同じく典型的な例として、アルバム1枚きりしか知らないんだが、Radioheadの「OK Computer」が挙げられると思う。かつてのプログレの多くもそうだ(特にキース・エマーソン)。

「胸」に来る音楽は多い。さっきは「『腹』や『腰』に来る部分がないと物足りなく感じる」などと書いたが、おれの好きなザ・バーズビーチボーイズカーペンターズなんかも胸に来る音楽だと思う。

「腹」に来る音楽といえばブルースが典型的で、中にはいつから煮込んでいるのやらわからないモツ煮込みみたいなやつもある。マディー・ウォーターズ、B.B.キングなんかがわかりやすい例だろう(本人達の腹も見事なものである)。ロックでは、ジミヘンが腹に来る。ジャズだとコルトレーンが下痢するくらいに腹に来る。

「腰」に来るわかりやすい例はローリングストーンズで、彼らのリズム感は独特だ。随分と腰を揺すってくれる。リズムのタイプは全然違うのだが、サルサも「腰」に来る音楽の典型例だろう。おれは別にサルサ・ファンではないのだが、サルサがかかると自動的に腰が揺れてしまう。何なのだろうか、あの魔力は。

「足」に来る、というと、まるで泡盛を飲んで立ち上がったみたいだが、行進曲とかポルカがそうかな。ポルカ! ポルカ! ポルカ! ウゥラホッホー! あれほど思想性のない音楽も珍しい。まあ、どこへでも勝手に歩いていっていただきたい。

 ヘビメタは何だろう。「腹」に来るといえばそんな感じもするし、ヘッドバンギングするんだから「頭」に来るともいえそうだ。あるいは「首」に来る、かな?

 おれにはヘビメタと脱穀機の違いがよくわからない。ちなみに、おれの田舎の米どころ富山では、ヘビメタ・ファンがよく脱穀機のそばでヘッドバンギングをしている。