ニコラス・ケイジの魅力

 映画で見て、今ひとつよくわからぬ人にニコラス・ケイジがいる。非常に多くの作品に出ており、間違いなく現代のハリウッドの売れっ子スターだろう。しかし、では何が魅力なのか、というと、どうもよくわからない。

 顔はまあ、あの通りである。ハンサムとは言いがたい。どちらかというと間延びした顔立ちで、見ようによっては間抜け面である。

 演技力はどうなのだろう。下手と感じたことはないが、たとえば、ロバート・デニーロショーン・ペンのように、これは名演だとありとあらゆる人から賞賛されることはあまりないように思う(わたしは英語のヒヤリングができないから、セリフまわしのニュアンスまではわからないけれども)。違和感を覚えさせることがなく、「この人は今、素晴らしい演技をしている」と特別に意識させることもないとしたら、自然な演技とは言えるのかもしれない。

 アクションは得意なようだ。しかし、肉体派俳優というのとはちょっと違うだろう。

 では、個性が強いのかといえば、そういうわけでもない。たとえば、ジャック・ニコルソンアンソニー・ホプキンスは画面に出ているだけで他を圧倒する存在感がある。映画は、よくも悪くもジャック・ニコルソン色、アンソニー・ホプキンス色に染められてしまう。しかし、ニコラス・ケイジの場合そこまでの存在感はなく、他の俳優でも映画は成立しそうに思える。

 あれだけ多くの映画に出ているのだから――ということは、ニコラス・ケイジを出したいと考える映画人が多いのだから、何か魅力はあるはずだ。わたしも、何だかんだ言って、ニコラス・ケイジ主演の映画を多く見ている。特に不満を覚えたこともなく、面白い映画も結構ある。そういう意味では重宝な役者なのかもしれない。

 しかし、よくわからんのだ、何を魅力と言えばいいのか。誰か、教えてくれ。