電車の席に座っていて、ふと向かいの女性の顔を見て、むむ、と少々驚いた。それから困った心持になった。
女性は二十代前半くらいだろうか、整った顔立ちをしていた。ただ、アニメで描かれる女の子をそのまま現実にしたような巨大な目なのである。甲状腺の異常というふうではなく、ただただ目が大きい。
アニメは苦手だと言いながらもどこかわたしの美的感覚も影響を受けて(汚染されて)いるのか、これは美人である、という声が頭の中に聞こえる一方で、いやいやこれは何かちょっとこう異常である、という声も聞こえる。
えーと、昔、冗談で作ったことがあったな。ああ、あった。
こんなような目をした女性が真ん前に座っていたわけである。困った。
まあ、いつの世でも絵というのはデフォルメして描くものではあるけれども(平安時代の女性が全員ああいう細目下膨れ人間だったわけではあるまい)、しかし、アニメに見られるような異常な比率の目をした女の子を、美人だ可愛い萌え萌え萌えなどと感ずるようになった文化的心理的経緯というのはどういうものだったのだろうか。
目を覚ませ、と言いたい。
現実に目の前にいた女性の顔立ちを云々するなどというのは下品な行為で、申し訳ない。書かずにいられませんでした。