西村佳哲さんの「自分の仕事をつくる」に解説を書きました

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

 尊敬する友人・西村佳哲さんの著「自分の仕事をつくる」が文庫化するにあたり、解説を書いた。

 読み返すと、我ながら思い出話と感想くらいにとどめておけばいいものを、何を勘違いしたのか、解説めいたことまで書こうとしていやがる。なーにをエラそうに、と思う。こういうのを身の程知らずというのだ。恥ずかしい、恥ずかしい。今、悔恨の涙に袖を濡らしつつ、これを記しております。

 わたしのことはともかく(すまん。自分が大好きなのだ)、西村さんはプランナー/デザイナーであるとともに、働き方研究家でもある。「自分の仕事をつくる」は、ものづくりを行うさまざまな人の仕事場を訪ね、インタビューを元に仕事論を編み上げていったものだ。取材先は以下の人々。

八木保(グラフィックデザイナー) 象設計集団(建築事務所) 柳宗理プロダクトデザイナー) デニス・ボイル(プロダクトエンジニア) パタゴニア(アウトドアウェアメーカー) 宮田識(グラフィックデザイナー) 小林弘人(編集者) 植田義則(シェイパー) 甲田幹夫(パン職人) ヨーガン・レール(ファッションデザイナー) 馬場浩史(プランナー) ファインモールド(プラモデルメーカー) 深澤直人プロダクトデザイナー) 伊藤弘(グラフィックデザイナー) 黒崎輝男(インテリアショップオーナー)

 文庫本としては中くらいの量の本だ。しかし、それぞれの取材相手が、それぞれの働き方と、経験をもとに積み上げてきた仕事に対するそれぞれの考え方を持っているから、内容は多岐に渡り、濃い。解説を書くため数年ぶりに読み返しながら、わたしはあちこちでピシピシと打たれ、しまいにはぼーっとした。

 取材先はデザイナーやクリエイター(この言い方、何とかならんのか)が多いが、そういう職種の人だけに向けた内容ではない。自分の携わっている仕事・自分のいる環境の中で、どう「自分(とまわりのため)の仕事をつくる」かという話が中心にある。よい本です。

 金の解説文は1冊分、銀なら5冊分を切り抜いて集め、稲本のところにお送りください。もれなく仕事のカンヅメをプレゼントします。