世の中には魔法の言葉というのがあって、例えば、「絶対○○主義」もそうだ。
雑誌の特集タイトルなんかによく使われる。恐るべきことに、この「○○」のところ、名詞なら何を入れてもたいてい成り立つのである。
ここいらはまあ、好みの関わる対象であるし、ナルホドそんな主義もあるかもしれぬ、と思う。しかし、もっとどうでもよいようなこと、例えば、
絶対インターホン主義
絶対輪ゴム主義
絶対DonDokoDonの山口じゃないほう主義
なんかでも、我々はそこに意味を求めてしまうのである。“ムム、主義であるか、そこには何か理由があるのであろう”などと、自動的に反応してしまうらしい。
先ほどから「絶対○○主義」にわたしはいろいろな言葉を当てはめてテストしているのだが、どうやら「絶対○○主義」に合わないのは、二音以下あるいは一文字の言葉のようだ。
絶対恋主義
絶対奈良主義
絶対鵜主義
意味内容とは関係なく、単に音が短い、字面が短いという理由でしっくり来なくなる(例えば、絶対恋愛主義、絶対京都主義、絶対ニワトリ主義なんかはOKだ)。
少々雑な言い方をすれば、「絶対○○主義」は魔法の小箱であって、入れる物の内実より語呂が問題であるようだ。音の長さが三音以上で二文字以上のものを入れれば、何らかの価値あるものに仕立て上げられる。
絶対アメフト主義、絶対ラーメン主義、絶対坂上二郎主義、絶対めかぶ主義、絶対デルス・ウザーラ主義……まあ、さすがに絶対税金主義のような漠然としたものも難しいようだけど。