セルジオ・レオーネ監督の「ウエスタン」を見ていて、西部劇の決闘というのは技術がないとお互い大変なことになるなあ、と思った。
早撃ちのスピードということもあるが、それ以前に、的確に的を撃つということができないと往生する。
1、2、3とふり向きざまに、パヒューン。でもって、片方が相手のふくらはぎを、もう片方が相手の耳をかすめたら、お互い、気まずい思いをするんじゃなかろうか。
残酷だが、あれは、相手を殺すか、相手の拳銃を撃ち落としてカッコいい決めぜりふを言わないとカッコがつかないだろう。
さらに言うと、相手の顔を撃ち抜いたらどんなシーンになるのか。オエオエである。
ジャッキー・チェン系統のカンフーも大変である。拳や蹴りでもって、
「アチャ」
「ホワチャ」
「ハチャチャチャチャ」
「ホウワーッ。ホイ〜っ」
「ホタタタタタタタ」
「アイヤヤヤヤヤヤヤ(痛がっている)」
「ワチャーッ。ホヤタ〜っ」
「フン。ハーッ」
と、まあ、いつまで続けたっていいが、アホらしくなってきたのでやめるが、ジャッキー・チェン系統のカンフーでは攻撃するだけでなく、それを腕や脚でもってしっかりと受け止める。
しかもどれだけ受け止めても、骨折しない。打撲すらしていない気配だ。
つまり、あれはお互い、メチャメチャ威力が弱くなければならない。面妖な勝負である。
まあ、それを言い出すと、わが国の時代劇の大立ち回りも大変なものだが。
主人公がドラマ終了5〜10分前に、悪役一党をカキンカキン、ブシュブシュとやっつけて、毎週、大勢の後家さんを作り出しているわけであるが、実に奇妙である。
わたしは子供の時分から、「なぜ悪役の人々はいっせいに主人公を突かないのだろうか?」ということが疑問だった。
輪になって、真ん中の主人公を、せ〜の、でつついたら、いかな剣の達人であろうとどうしようもないと思うのだが。もしかして、全員馬鹿なのであろうか。
血が出ていないのに、バタバタ倒れるというのももちろん変だが(たまにカメラの前で目を剥いてみせる斬られ役の人がいますね)、着物が切れないというのもまた不思議である。
昔、リアルな斬り合いでは、エイ、と刀を払ったら、たまたま袴の紐が切れて、「あや?」。下半身がフンドシ一丁になってしまった、なんてこともあったのだろうか。
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