知った人を犬タイプか猫タイプかに分ける、というのは大ざっぱだけれども、まあまあ通用する遊びだろうと思う。
世の中には豚に似た人もいるし、牛に似た人もいるし、馬に似た人もいるし、羊に似た人もいる。
たいがいの家畜は、似た人を見いだせる。
しかし、ニワトリに似た人というのはほとんどいないのではなかろうか(家畜じゃなくて、家禽だが)。
クワーッ、コッコッコッコ、と神経質そうな声で歩き回る。ちょっと何かが起きただけで異様な騒ぎを始める。かなり常軌を逸の字である。
あえて言えば、初期のパンクロッカーに似たタイプの人がいたかもしれない。
このトサカ、このアゴ、首まわりの長い毛、尾、あのカンばしった声、跳躍はするが飛べない。栄養価の高い大きな卵を毎日一個生む。
みんな、もっとニワトリという動物の異常さに注目したっていいんじゃなかろうか。
あれが飼い慣らされていなくて、森の奥に住むめったに見られない鳥だったら、間違いなく怪鳥扱いだと思うのだが。
わたしは、小学校で友達の柳沢クンとニワトリ小屋の掃除を命じられ、小屋への侵入に逆上したニワトリに追いかけ回されたことがある。
柳沢クンは金網をよじ登って逃げようとして、ズボンが引っかかり、可哀想に半ケツ状態になってしまった。
ニワトリは、跳び上がっては柳沢クンの半ケツをツツきまくった。
あのときの柳沢クンの泣きべそは忘れられない。
以来、ニワトリの近くに寄ると、わたしは平静でいられない。
かの大山倍達も、部屋でニワトリと一対一になったら勝つ自信がない、と述懐したそうである。
*1:Photograph by Andrzej Barabasz (Chepry). Copyright (c) 2008 Yoshinori Inamoto. Permission is granted to copy, distribute and/or modify this document under the terms of the GNU Free Documentation License, Version 1.2 or any later version published by the Free Software Foundation; with no Invariant Sections, no Front-Cover Texts, and no Back-Cover Texts. A copy of the license is included in the section entitled "GNU Free Documentation License".