電脳サイバー・バーチャル空間

 前々から疑問なのだが、インターネット上の表示物を「サイバースペース」と呼ぶ人達がいる。あれ、どうなのか、と思う。


 体にピタリと張りつくレオタードみたいな未来服を連想させて(あれ、小腹の出た人も着るのだろうか)、実際との大きなギャップを感じる。


 おそらく、SFの「ニューロマンサー」や「ブレードランナー」、そこから派生した「マトリックス」なんかのイメージから使われる言葉なんだろうが、わたしの見るところ、インターネットはああいう方向には進んでいない。
 たとえ、将来、技術的に脳に直結、みたいなことが可能になっても(普通に考えれば、頭に電極なんぞ刺したくないが)、もっと鈍い、しょうもないことに使われるだろうと思う。


 なぜなら、人間のかかずりあうことの大半は、昔から鈍くてしょうもないことだからだ。


「バーチャル」(仮想)という言葉を使う人もいる。


 しかし、これまたわたしの見るところ、インターネット上のやりとりの多くは、「ユミはちょっとヘコんだじょ (ノд`)」という類のハタから見ればどうでもいいようなおしゃべりや、物を売り買いすることや、介護の悩みや、転職先探しなどであって、あんまり仮想という感じはしない。


 あえて言えば、目の前の、相手の肌に触れようと思えば触れられるようなやりとりの、生な感覚とはちょっと違う。
 しかし、それを言うんなら、電話は、ラジオはどうなのか、と思う。電話もラジオもバーチャルなのだろうか?


 ハンドルネームやアバターを使うやりとりは、まあ、仮想と言えないこともない。が、あれはむしろ、仮装現実と呼んだほうがよいのではないかと思う。


 さすがに「電脳」という言葉を使う人は、この頃、減ってきたようだ。


 まあ、言葉には、連想を刺激する遊びの面もあるから、あんまりギチギチうるさく言い立てるのも、ヤボチンスキーなんだけれども。