SF/納豆スナッチャー

 広義の醗酵というのは、食品に微生物が繁殖することなのだそうだ。つまり、現象としては「腐る」のと同じで、人間の役に立つものを「醗酵」、役に立たないものを「腐敗」と呼ぶらしい。


 昨日のコメント欄にインスパイアされて、もし人体に納豆菌が繁殖したら、どんなストーリーができるか考えてみた。
 小説や脚本に仕立てるのは面倒くさいので、あらすじだけ記す。


SF/納豆スナッチャー あらすじ


水戸の農場で婚約者の麻美と暮らす五郎は、ある晩、麻美と喧嘩し、納屋で稲藁にくるまって眠った。翌朝、自分の体が糸を引いていることに気がつく。
西日本出身の麻美の「お父さんの靴下が、そんな臭いがした」という言葉にショックを受けた五郎は、東京へと旅立った。醗酵学の世界的権威、田所博士のもとを訪ねるが、あやうく解剖されそうになり、逃げ出す。
自らの運命を呪う五郎。ネバネバと糸を引く体に“おれはスーパーヒーローなのかもしれない”と閃き、イチかバチかビルから飛び降りてみるが、納豆の糸はただただ伸びるばかりで、全身をしたたか打ちつけただけだった。
一方、五郎の秘密に執着する田所博士は麻美を誘拐する。実は博士は、地球侵略をたくらむブルーチーズ星人だったのだ!
麻美の危機を知った五郎は、単身、敵のアジトへの侵入を決意する。スーパーヒーローのようにカッコいいバイクやクルマを持たない五郎は、地味に満員電車でアジトに向かう。糸を引く体を迷惑がる乗客達。しかし、すし詰めの車内では逃れる術がない。そのとき、奇跡が起きた! 五郎の体の納豆菌が、ぎゅうぎゅう詰めで体を押しつけ合う乗客達の体に繁殖し、全員が納豆人間と化したのだ。
混み合う朝のエレベーター、飲食店の前で行列をなす昼休みなど、密集度の高い生活を強いられるオフィス街のサラリーマンやOLの間に、たちまちのうちに納豆菌は広がっていく。
その頃、ブルーチーズ星人に操られたクサヤ軍団が、八丈島から日本本土侵攻を開始する。
自らの運命を受け入れた五郎は、ネバつくサラリーマンやOL達に呼びかけ、NATTO(Nattoh ATTacking Organization)を結成する。
ウマミにはたまらんものがあるものの、近所迷惑な強力な臭いを発するクサヤ軍団。
体にいいという漠然とした強みだけが武器のNATTO。
今、決戦の火蓋が切られようとしている――。


 このアイデア、小説にするなら、300円で売るヨ。
 映画化は3000万円、ただし、ハリウッドの場合は3億円だ。