素敵な邦題(続)

 一昨日、洋楽の邦題について書いた(id:yinamoto:20081027)。


 今もないことはないのだろうが、80年代頃までの洋楽には、日本のレコード会社がしばしば邦題をつけた。
 いいものもあれば、ちょっとどうよ、というものも結構あったように思う(ちょっとどうよ、のほうが多かった気がする)。


 例えば、ビートルズの「Ticket to Ride」は「涙の乗車券」、ブルース・スプリングスティーンの「Born to Run」は「明日なき暴走」、マーヴィン・ゲイの「What's Going on」は「愛のゆくえ」といった調子だ。


「What's Going on」はベトナム戦争をはじめとする社会問題に対し、マーヴィン・ゲイが「いったい、どうなっているんだ?」と怒りとやるせなさをぶつけた名曲なのだが、邦題のほうは「going on」を「行ってしまう」とでも捉えたのか、「愛のゆくえ」などというフヌケたタイトルになってしまった。ダメダメである。



 閑話休題(ともあれ)。


 逆手にとって、原題そのままの洋楽に、あえて邦題をつけてみるとどうなるだろうか。遊びのポイントは、邦題ならではの、ぬるさ、ゆるさ、ダサさを醸し出すことである。


 わたしのヒット曲についての知識は80年代で終わっているので、もっぱら、それ以前の曲になってしまうが、お許しいただきたい。


 例えば、ビートルズの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」は、「愛の田舎道」。……申し訳ない。いきなり狙いすぎてしまった。


 マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」は、「処女みたいに」とかでもよいが、ここはひとつ、大正歌曲風に「乙女の如く」と洒落こみたい。


 セックス・ピストルズの「アナーキー・イン・ザ・UK」は、「オイラはアナーキー野郎」。間抜けだ。


 U2の「ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム」には、かつて「約束の地」という邦題が付けられていたが、「忘却のストリート」とかのほうが邦題らしいバカバカしさといい加減さがあると思う。まあ、認知症の歌みたいでもあるが。


 ちょっと皮肉を言わしてもらうなら、「ウィ・アー・ザ・ワールド」は、「わたし達が世界」。参加した個々のミュージシャンの善意はともかく、アメリカの有志の皆さんが歌うあの曲には、アメリカ的な独善と閉じた感覚とナルシシズムと傲慢さが感じられないこともないこともないこともないこともないこともない3718こともなかった(三千七百二十四重否定)。


 ニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」は、「十代の心」。もっと間抜けにするなら、「ハートは十代」。実際、こんなタイトルがつきかねないから、邦題はオソロシイ。


 皆さんも、テキトーに邦題をつけて遊んでみてはいかがでしょう。結構、暇が潰れます。