おせっかい

 ビール酒造組合なる団体が、「STOP! 未成年者飲酒」と題して、こんなコピーの広告を出している。


飲みたがる
10代は、少ない。
飲ませたがる
オトナが、
実は多い。


 コピーの様式に酔っちゃってるんじゃないかという感じもあるが(ビールの団体であるし)、なかなかよくできたコピーだと思う。


 本当に10代はさして酒を飲みたくなく、大人が飲ませたがるのかどうかはわからない。しかし、「まあ、まあ、いいじゃないか」、「もう大人だろう」と10代の人々に飲ませる大人の姿、というのは、頭に浮かびやすい。


 酔うという状態は、面白い。面白いことは人に伝えずにいられない。「キヒヒヒ。やってみろ。オモロいから。ホレ、ホレ」。そういう、人間の伝達本能というか、巻き込み本能、おせっかい本能が働き、酒という悪魔の水は、人間界に巣くってきたのかもしれない。
 あるいは、同じ穴のムジナにしてしまいたい、という、ムジナ本能みたいなものもあるのかもしれない。


 しかし、考えてみると、面白いことに限らず、大人というのは随分とおせっかいなもので、こんな言い換えも通用するように思う。


働きたがる
10代は、少ない。
働かせたがる
オトナが、
実は多い。


 あるいは、こう。


学びたがる
10代は、少ない。
学ばせたがる
オトナが、
実は多い。


 当たり前か。若い者を、この世の型というものに嵌めることを、大人はどこかで責務と考えている。


 歌舞音曲に浮かれて暮らしていければ、いいんだけどねえ。
 そうはいかないんだから、まあ、しょうがない。