何が楽しいのか

 わたしは、ショッピングがあまり好きではない。


 どうやら、あれを買うかこれを買うか、迷う状態にいるのが嫌であるらしい。勝負はさっさとついたほうがよい、と考えている。
 ショッピングが好きな人は、迷う状態が楽しいらしいが、わたしには煩わしいだけである。物を選ぶ時間は、平均3秒くらいであろう。


 しかし、お金を払って、物を買う瞬間に喜びはある。
 あれは一体、何がうれしいのだろうか。


 物を使う(あるいは、読む、見る、着る、食べる)喜びというのはある。
 だが、買った時点ではまだ使っていない。使っているときのことを想像して、楽しいと感じるのだろうか。
 それとも、物を手に入れると、豊かになったように感じるのか。自分でもよくわからない。


 使う、手に入れると言っても、ショッピングの喜びというのは、プレゼントや抽選なんかで、ただで物を得たときの喜びともちょっと違うようにも感じる。


 人に言わせると、お金をパーッと使うと発散できる、とか。
 よほど収入がない限りコマった性分だが、わからないでもない。


 ギャンブルでお金をつぎ込むときの高揚感や、ストリーキングのぱーっとスッパダカになる解放感みたいなものだろうか。明日なき我が身、みたいなね。


 なぜ人はショッピングを楽しいと感じるのか。日常的なことなのに、改めて考えてみると、よくわからない。