オリンピックの中継を見ると、オリンピックらしいスポーツとそうでないスポーツがあるように感じる。
例えば、陸上や水泳、体操はとてもオリンピックらしいスポーツだが、野球はそうではない。柔道はオリンピックという舞台によく合うように感じるが、サッカーはそう感じない。
冬のオリンピックだと、フリースタイル以外のスキーはオリンピックらしいが、スノーボードのハーフパイプはオリンピックらしくない。同じスノーボードでも、スラローム系の競技は、多少違和感があるが、オリンピックらしいところがあると感じる。
ひとつには、ガキの時分に見たオリンピックのイメージもあるのだろう。
わたしが覚えている一番古いオリンピックは1976年のモントリオール・オリンピックだ。
当時のオリンピックは、まだアマチュア規定が強い効力を発揮していて、オリンピックはプロ・スポーツを受け入れていなかった(もっとも、社会主義国の選手は実質的に専門職化していると言われていたが)。
競技では、コマネチの10点満点がやはり強い印象で、日本は体操とレスリングが強かった。
野球はもちろんなかったし、サッカーはあったはずだが覚えていない。
わたしの中には、いまだに、プロのもたらす華やかさとは一線を画したオリンピックのイメージがある。
もし、ガキの時分に形作られたオリンピックのイメージがその後も作用するのだとしたら、若い人はどうなのだろう。野球やハーフパイプをオリンピックらしいと感じるのだろうか。
もうひとつ、オリンピックらしい/らしくない、を分ける理由として、その競技にとって、オリンピックが世界最高の舞台か、ということもあるように思う。
多くの競技にとって、オリンピックは世界最高の舞台だろう。
しかし、サッカーにとってはそうではない。
サッカーの世界では、少なくとも国別対抗戦としてはワールドカップが世界最高の舞台だろう。内容的にも、注目度の点でもそうだ。
おそらく、U-23という中途半端な規定を外しても、サッカーにとってオリンピックは世界最高の舞台とはならないと思う。
野球もソフトボールも1990年代から正式競技に採用されたが、野球はオリンピックらしくなく、ソフトボールはオリンピックらしいと感じる(わたしは)。
それは、野球選手にとって世界最高の舞台が、オリンピックではなく、MLBのワールドシリーズだからではないか。
ステータス、注目度、高揚感、すべての面で、オリンピックの野球競技はワールドシリーズに太刀打ちできない(比べるのも愚かなぐらいである)。
もちろん、ワールドシリーズは形式上はアメリカ国内最高の舞台だが、他国の選手でもMLBの選手になれば行ける可能性はある。
また、野球のプロ選手、あるいはプロ選手を目指す人に「いつかワールドシリーズに出てみたいか」と聞けば、かなりの人が出てみたいと答えるのではないか。オリンピックは必ずしもそうではない。
テニスもまた同じ(オリンピック競技としての歴史は古いけど)。
そういう競技を、オリンピックらしくない、と感じるように思う。
借りてきたような競技には違和感を覚えるということかもしれない。だから、外せとか、そういうことではないのですが。