昨日、肉屋でコロッケを買い食いしたら、なかなかうまかった。
それはいいのだが、と書いてしまうと、このページ、全編それはいいことばかりなのだが、そのとき、ふと思った。コロッケをおかずにご飯を食べるというのはどうなのだろう。
ご承知の通り、コロッケは、ジャガイモをつぶしたのに小麦粉、パン粉の衣をつけて揚げたものだ。
ジャガイモ、小麦粉、パン粉、どれも主成分はデンプンだろう。
それをおかずにご飯を食べる。ご飯も、主成分はデンプンだ。
デンプンばかりではないか。
コロッケには多少、タマネギや挽肉やなんかを入れることがあるが、さしたる量ではない。後は、揚げるための食用油くらいか。
デンプンの優位は動かない。というか、デンプンをおかずにデンプンを食べているようなものである。
懐メロに、確か、「今日もコロッケ、明日もコロッケ」というような歌があったように思う。昭和三十年代くらいの歌だろうか。
比較的安いおかずだったのだろう。今でも安いが。
大阪では、お好み焼きをおかずにご飯を食べる、という話も聞く。これまた、デンプンにデンプンである。
わたしが子供の時分には、ポタージュスープをおかずにご飯を食べる、という、今思えばなかなかに清貧な晩ご飯もあったように覚えている。でも、嫌ではなかった。
デンプン。味わいのある言葉である。ちょっと、でぶっとした感じがする。
澱粉と漢字で書くのも、臀部を思わせて、よい。
テコでも動かないふうがある。何かと脚光を浴びるタンパク質の、「ハイ、ワタクシ、最先端であります!」という颯爽とした、いささか小賢しい雰囲気とは対照的だ。
デンプン。法事でだけ顔を合わせる、ちょっと垢抜けない太ったおじさんみたいでもある。
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「今日の嘘八百」
嘘七百九 涙が心の汗ならば、目ヤニは心の垢である。