資本主義(この言葉、何とかならんのか)の社会では、ギャップのあるところに儲けるチャンスが生まれる。
その点では、儲けと笑いは同じだ。
わかりやすい例で言うと、言うと、言うと、言うと……何も思いつかないが、とにかくそうなのである。
ああ、思いついた。
野っ原を歩いていて、腹が減ってきたとする。見渡しても何もない。
うー、困ったなあ、このままでは行き倒れだ、とよろよろしているところに、突如、飯屋が現れたとする。
おお、これぞ天の助け、と飛び込むと(行き倒れそうなのに変か。まあ、いい)、店の主人が「カマボコ定食、1万5千円。ただし、税別」などと言い出す。
何とあこぎな、と思うが、何しろ、行き倒れよりはマシなので、1万5千円払って、飯をかき込み、カマボコを丸ごと飲み込んで、喉を詰まらせたりする。
つまり、人の弱みにつけ込む、というのは、儲けるための重要な手口のひとつなんですね。
図示すると、こういうことになる。
一般化すると(おお、何か、学者の人みたいだ)、こうなる。
弱みにつけ込むのではなく、欲望を刺激して儲ける、という手口もある。
ファッションの業界なんかがわかりやすい例ですね。
ネッカチーフを描こうと思ったのだが、うまく表現できなかった。
そもそも、ネッカチーフがイケてるか? という問題もあろうが、許していただきたい。ファッションのことはよく知らないのだ。
関係ないか。
再び一般化すると、こうなる。
こういうギャップはある程度、意図的に作り出せる。
ファッション雑誌を含め、ファッション業界というのは、「理想のあなた像」みたいな一種の夢まぼろしを作って、わざと欲望を刺激することをやる。
まあ、そういうことをしないと、なかなか立ちゆかない商売でもある。
もうひとつ、先のカマボコ定食に比べれば高等戦術だが、不安を煽る、という手口もある。
例えば、部長の口臭にまわりの人が辟易としているCMを流す。
口臭というのは自分ではわからないから、見ている人は「私も臭っているのでは?」と不安になる。
その結果、本当は口臭がなくても、薬やなんかを買ってしまう。
一般化すると、こう。
矢印の方向、現実(黒線)、想像(色の薄い線)が、カマボコ定食やネッカチーフとは逆になっていることに注意していただきたい。
不安を煽るというのは、つまり、悪い状態を想像させるわけですね。人を落っことす状況を作り上げる。
弱み(不便を含む)につけ込む、欲望(便利さを含む)を刺激する、不安を煽るというのは、特に広告でよく使われる手法だ。広告でよく使われるということは、優れて資本主義的ということでもある。
好むと好まざるとに関わらず、我々はそういう社会に暮らしている。また、そういうことをやらないと、経済がコケて、大変なことになる社会でもある。
なお、「弱みにつけ込む」、「欲望を刺激する」、「不安を煽る」などと、わざと貶めるような言い方をしたが、「困っていることを解決してあげる」、「楽しい(あるいは、楽な)気持ちにしてあげる」、「わかってない人に教えてあげる」と、ポジティブに言い換えることもできる。
エー、口八丁手八丁の世の中であります。
本当は別に書きたいことがあったのだが、思わず長くなってしまった。日々、是、成り行き。続きはまた明日(たぶん)。
ところで、あなたの鼻の中、臭いかもしれません。
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「今日の嘘八百」
嘘六百九十六 明日、戦後初の国民的議論が行われるそうである。場所は皇居前広場。朝9時、全員集合のこと。