泣ける日〜スポーツ編

 泣ける日は、スポーツも楽しい。


 野球で7回裏、2アウト2、3塁。
 バッターボックスに立った打者は、プレッシャーで泣き出してしまう。


 しかし、よくしたもので、ピッチャーもプレッシャーで泣いている。なぜだかレフトも泣き始める。


 涙でキャッチャーのミットがよく見えず、フォアボール。満塁。ピッチャーは泣き崩れる。


 監督もたまらず泣き出す。喉で涙の塩味を感じながら、途切れ途切れにリリーフを主審に告げる。


 リリーフ・ピッチャーは泣きながらマウンドに向かう。5万の観衆も、もらい泣きだ。


 一球目、いきなり高めに浮いて、満塁ホームラン。打ったほうはうれしくて泣き出し、打たれたほうはうずくまり、拳でマウンドを殴りながら、号泣する。


 上空を、鳩の大群が飛び、糞を落としていく。


 相撲はどうか。


 朝青龍千代大海が土俵にあがる。すでに両者、涙目である。


 仕切りながら、鼻をしきりにすする。呼出さんから懐紙をもらっては、涙をぬぐう。


 立ち会い、いきなり朝青龍の張り手が、見事に千代大海の頬にヒット。千代大海はわっと泣き出す。


 しかし、千代大海にも意地がある。わーわー泣きながら朝青龍に怒濤の突っ張り。朝青龍も押されながら、うーうー泣き出す。


 土俵際に追いつめられた朝青龍、横に素早く身を転じながら千代大海の腕をとらえ、とったりの要領で千代大海を土俵の外へ。2人はもつれながら土俵下へと落下する。


 土俵下では、白鵬国技館の天井を見上げながら、目に涙をためていた。

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「今日の嘘八百」


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