顔の責任

“40歳を過ぎたら、男は自分の顔に責任を持たなければならない”


 などと言う。


 じゃあ、女はどうなのか、という問題は置いといて、わたしも41歳となってしまった。実に困ったことである。


 このページの右、「私について」というところに似顔絵のようなものを載せているが、これでもだいぶ美化してある。


 わたしはあまり自分の顔を見ないほうで――見たって面白くも何ともないからだ――見るのはせいぜい髭を剃るときくらいだろうか。
 それとて、だいぶ曇った鏡で見ている。細かいところがぼやけるので、好都合である。


“自分の顔に責任を持たなければならない”と言ったって、どう責任を持てというのだろうか。


 責任とって、では辞めさせていただきます、というわけにもいかないし、謝罪会見を開くわけにもいくまい。



「この度は、顔の件につきまして、

関係各方面に多大なるご迷惑をおかけしました」


 いかんともしがたい。


“40歳を過ぎたら、男は自分の顔に責任を持たなければならない”って、そりゃあなた、随分無責任な言いようですヨ。


 わたしのような身にもなってご覧なさい。責任のとりようがないから。



「顔の説明責任をどうされるおつもりか?!」

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「今日の嘘八百」


嘘六百七十七 50歳を過ぎたら、男は自分の顔に責任を持てなくなる。