ヘイ・ジュード

 先週、新幹線の中でひさしぶりにビートルズの「アビー・ロード」を聞いた。


「アビー・ロード」はビートルズが制作した最後のアルバム。その密度と完成度には呆れるほかない。
 携帯プレイヤーにつないだヘッドフォンで聴き入った。一度では飽きたらず、往復の新幹線で都合三度、聞いた。少々、疲れた。


 当時、グループの仲はもうめちゃくちゃだったらしいが、そんな中でよくまあ、あんなアルバムを作ったものだと思う。


 その流れで、ビートルズについてWikipediaでいろいろ見ていて、いくつか面白い発見があった。


「ヘイ・ジュード」というポール・マッカートニー作の有名なバラードがある。



The Beatles, in Hey Jude


 1968年にジョン・レノンが最初の妻と離婚しようとしていたとき、ポール・マッカートニージョン・レノンの息子、ジュリアン・レノンを勇気づけるために書いた曲、ということになっている。ジョン・レノンは「ポールが書いた中で最高の曲だ」と評価していた。


 ――と、ここまでは、割に有名な話。


 この先は知らなかったのだが、ジョン・レノンは「ヘイ・ジュード」を、ポール・マッカートニーが息子のジュリアンではなく、自分を勇気づけるために作った曲と捉えていたという。


 いかにも自己中心的なジョン・レノンらしいとも思うが、確かに、歌詞を読むと、5歳の子ども(ジュリアン・レノン)に語りかけるにしては、内容が難しすぎる。


“The minute you let her under your skin, then you begin to make it better.”(彼女を肌の下にしたとき、物事はもっとよくなっていくさ)


 何だかスケベな歌詞である。


“And anytime you feel the pain, hey jude, refrain, don't carry the world upon your shoulders.”(キツくなったときはいつでも、なあ、ジュード、やめちまいなよ。世界を自分の肩に背負うなんてさ)


 やたらと世界を背負いこみがちで、当時、精神的にキツい時期を迎えていたジョン・レノンには、自分に向けたポール・マッカートニーからの応援歌に思えたのだろう。


 まあ、歌というのはいろいろに解釈して楽しめるものだし、ソングライターにとって、いろんな意味に取れる歌を作ることは楽しみのひとつだろう。
 だから、結論は別にない。各人、好きなように捉えてくらはい。


 なお、訳については一切責任を持ちません。間違ってたら、ごめんなはい。

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「今日の嘘八百」


嘘六百七十五 キャンディーズは「春一番」をもらったとき、「こんなやらしい歌唄えません」と最初は拒否したらしい。