馬鹿者の巻き添えになることについて

 うちの近所には学校が多く、必然的に中高生が多い。


 女子学生が、通りをはさんで男子に手を振っているところなんぞに出くわすと、取り返しのつかない悔しさを覚える。源氏物語の時代なら、「露と消えにし〜」などと思わず和歌に詠んでしまうところである。


 今日は腹立ち紛れに書く。読まされるほうは災難だろうが、何なら一緒に腹を立てていただいてもいい。
 ほとんどの中高生の諸君にとっては自分の責任ではなく、理不尽だろうが、世の中というのは元々、理不尽なものなのだ。これも勉強と、諦めていただきたい。


 町を歩いていて時折出くわすのが、自転車に乗って携帯にメールを打っている馬鹿中高生である。
 メールの相手は女子だろうか。えーい、くそ。露と消えにし。


 ほとんど曲乗り状態であって、実にもって危ない。


 いや、その女子からのメールに「あはは」などとヨロコんでいる(ことにもう決めてしまった)男子が、電柱に激突しようが、笑ったまま川に落っこちようが、知ったことではないが、そういう馬鹿者の巻き添えを食うことがあるから困る。


 例えば、ベビーカーに突っ込んだらどうするつもりなのだ(つもりなんぞないから、携帯を操っているんだろうが)。


 あるいは、クルマにハネられた場合、もちろん、実際の過失はほとんど自転車メール打ち中高生にあるんだろうが、日本ではとにかくクルマ側が悪い、ということになりがちだ。
 クルマ側に非はない、ということになったとしても、人をハネて、相手が自動車教習所のビデオのようなグチャメチャ眼球飛び出し状態となったら、一生、夢見が悪かろう。


 しかし、そういうメール打ち自転車中高生が危ない、というので、これを法や行政の側に任せると、またヤなことになるのよね。


 前にも書いたが、わたしの住むあたりに来るゴミ収集車は、「運転手さん! 交差点ではお年寄りや子どもに注意しましょう!」などと、まるでこちらを幼稚園児扱いする区役所オネエチャン的いいこちゃんボイスを拡声器で撒き散らしながら、町を練り歩く(ゴミ収集車に歩くは変か)。


 あの、小学校全校集会壇上女子教師但し色気皆無的注意事項のバリエーションに、「みなさん! 自転車に乗りながら携帯電話を扱うのは大変危険です。絶対にやめましょう!」などというフレーズが加わるのも、かなわない。


 こういうツマラないことを元に、法や役所の所管事項が増えていくというのは息苦しい。


 まあ、例の古くからの、自由と法という問題なんですがね。


 法に縛られるのも嫌だから、投げ縄を練習して、携帯を操っている自転車中高生を次から次へと引っ捕らえてやろうかと考えている。


 もちろん、こちらも自転車で追う。西部劇風のファッションが合うだろうと思う。

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「今日の嘘八百」


嘘六百六十八 例のレーダー員と見張り員も、そのとき、携帯でメールを打っていたらしい。バレると恥ずかしいので、公にできないのだそうだ。