イライラ

 日本人は小型化が得意と言われるけれども(ホントかどうかは知らないヨ)、わたしの場合は人間の器が小型化しているので、何ともはや――申し訳ない。


 ちょっとしたことで、すぐにイライラしてしまう。


 例えば、狭い歩道を高校生どもがだらだら歩いてふさいでいると、後ろから跳び蹴りをかましたくなる(のだが、肝っ玉も小型化しているので想像してみるだけである)。
 そのとき、わたしは、要塞島に乗り込んだブルース・リーのような表情になっているかもしれない。


 先日、コンビニのレジで精算しようとしていたら、横からオバサンがぬっと体を入れてきて、牛乳をどん、と置いた。


 店員がわたしに「○○円です」と言っているところなのに、「急いでいるから、早くお願いします」と店員に言う。もちろん、わたしのほうなんぞ見向きもしない。


「今、金を払おうとしてんだ。てめえが急いでいようがどうだろうが、あと10秒かそこらだ、バカ」と思った。


 おそらく、自分を中心に世界が回っているスーパー天動説の人なのであろう。視野はパラボラのごとく狭いに違いない。
 内無双でひっくり返してやろうかとも思ったが、やり方がよくわからなかったので見送った。


 今思えば、わざと1万円札で払って、時間をかけてやればよかった。


 ――心がささくれだって、実にいかんことである。


 飯屋でたまたま隣に座った奴が、くちゃくちゃ音を立てて飯を食うのもイヤなものだ。


 といって、「くちゃくちゃ言わさないでください!」と注意するのも、いささか常軌を逸の字である。しょうがないので、さっさと飯を食い終えるほかない。


 ま、しかし、我が身を振り返ると、例えば、箸を使うのが下手くそだ。


 焼き魚なんぞ食うと荒らしてしまい、食べ終わる頃には、あちこち細かなカスだらけになっている。脳裏に墨痕黒々と「無惨」の二文字が浮かぶ。


 ああいうのも、ハタで見ている人は不快に感じているのかもしれない。


 なので、飯屋で焼き魚を食うときはなるべくサバを頼むことにしている。
 サバはいい。肉が締まっているから、カスが出にくい。骨からはがしやすいところも便利だ。


 書きながら、微妙に話がズレてきた気がしないでもない。

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「今日の嘘八百」


嘘六百五十五 何も嘘が思い浮かばない。