この年末年始は全くパソコンを見なかった。特に不都合は感じなかった。
情報機器といえば、携帯電話を四、五回使ったくらいだろうか。それとて、連絡に使っただけである。合計でも30秒かけたかどうか。
普段は読まないような本をちびちびと読んで、それが案外に面白く、何の役に立つわけでもないが、なかなかいい時間の過ごし方だった。
考えてみれば、普段は朝起きて身を清め、パソコンを開いて、二礼二拍手の後、メールソフトから大量のお告げをいただくという生活を送っているわけで、奇っ怪なことである。
そのお告げとて、「ユミです。この間の話だけど」とか、「今週末、主人が出張なんです」とか、そういう用件は脇に持っていっていただきたいというものが大半を占める。パソコンというのはどうも気の多い神様である。
時折、集合知だのなんだのと、ウェブの進化でバラ色の未来、みたいなことを語る人がいるが、さて、どうなのだろう。
わたしの記憶では、情報化方面は確か二十年ばかり前からずーっとバラ色の未来だ。この分では、当分、バラ色の未来の状態が続きそうだ、と、先ほど一週間分・820通の迷惑メールを消去しながら思った。
まあ、インターネットは調べ物には便利だし、買い物だの連絡だのもさっさと済ませられる。しかし、それだけのことといえばそれだけのことのようにも思う。
情報の少ない地域に情報を流し込む、なんてこともあるのかもしれないが、わたしのあずかり知らぬ話だ。いいことなのかどうかもよくわからない。
リッパな道具があったって、人間というのはしょうがないもんだから、しょうがないふうに使ってしまうだろう、とも思う。知らんけど。
あ、パロディを簡単に作れるのはいいことかな。
年始早々、薪の燃えかすの燻りのようなことを、牛のウンコのごとくぼとぼとと書いている。年があらたまったからといって、槍投げな態度は特にあらたまらないようである。無念。
春来たりそのうち夏も来るだろう おれ
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「今日の嘘八百」
嘘六百二十六 今年も逃げ腰。