笑い声

 インターネットでハプニング系の動画を見ると、テレビ番組から持ってきたのだろうか、しばしば大勢の笑い声をかぶせているものに出くわす。


 面白そうな動画でも、編集側が入れた笑い声を聞いた瞬間に、シラケる。


 似たようなことを、試しにテキストでやってみようと思う。
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 黄色い船から紅海に緑色の岩を投げ込むとどうなるか?


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 馬鹿にされたような気持ちにならないだろうか。まあ、オチも人を食ったものではあるけれども。


 次のは、確か、アメリカのジョークだったと思う。


 アメリカ人の紳士がメキシコの村に来た。
 懐中時計を宿に忘れてきたことに気づいて、ロバのそばに座っていたメキシコ人農夫に、「今、何時かわかるかね?」と訊ねた。
 農夫はロバの睾丸をそっと持ち上げて、「11時でさ」と答えた。
 紳士はロバの睾丸をよく見てみたが、特に変わったところはない。不思議に思って、農夫に「どうして時間がわかったんだね? 教えてくれたら、10ドルあげよう」。
 農夫は10ドル受け取ってから、紳士をロバの後ろに導いた。
「ここからロバのきんたまを持ち上げてみなせえ」
 紳士は睾丸を持ち上げてみた。


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 古今亭志ん生がマクラでよくやった小咄。


「蟹ってのは横に這うもんだけど、この蟹は何だい? 縦に這ってんね」
 と言ったら、蟹が、


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 笑い声が腹立たしくなってこないだろうか。


 同じように、あらかじめ用意してある笑い声をコメディやムービーにつける、なんてことを、テレビではよくやっている。ツラれて視聴者が笑うことを狙っているのだろう。


 それも、やや下卑た笑い声を使うのは計算なのか、無意識なのか(たまには、17世紀フランスの貴族が宮廷で発するような笑い声を使ってみてもいいと思うのだが)。


「ここ、笑うところですよ」、「あなたの笑いのセンスはこんなとこでしょ」と言われているようで、どうも気分がよくない。
 可笑しいかどうかくらい、自分でわかる。


 それに、笑い声がないほうが、おかしさのスリルが増して効果的な場合も多いと思うのだが。

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「今日の嘘八百」


嘘六百十九 経済学者が猿蟹合戦を読むと、猿のほうが合理的行動である、と思うそうだ。