大相撲の外国人力士の名前について、前にも「あまりに大ざっぱにつけすぎではないか」と書いたことがある。
名古屋場所の外国人幕内力士の名前を並べてみよう。
朝青龍(モンゴル)、白鵬(モンゴル)、琴欧州(ブルガリア )、朝赤龍(モンゴル)、旭鷲山(モンゴル)、白露山(ロシア)、旭天鵬(モンゴル )、露鵬(ロシア )、安馬(モンゴル)、把瑠都(エストニア)、黒海(グルジア)、時天空(モンゴル)、春日王(韓国)
モンゴル、韓国出身の力士の名前はオーソドックスだが、ヨーロッパ系の力士は全員、おおざっぱである。
ロシア出身のふたり、白露山、露鵬にはロシアを意味する「露」の字が入っている。
出身地にちなむ文字を名前に織り込むのは、大相撲でよくあることだ。しかし、ロシアの「露」の字とは、味も素っ気もない。
ヨーロッパからシベリアまで、時差10時間という広大な領土。
それを「露」の一文字でまとめているのだから、気宇壮大といえば気宇壮大だが、これはむしろ雑、と言うべきだろう。
例えば、生まれ故郷の名山を織り込むとか、もう少し、風情を考えてやってもいいのではないか。
もっと雑なのが、ブルガリア出身の琴欧州だ。ヨーロッパを丸ごと背負わせてどうする。
ま、しかし、物は考えようで、佐渡ヶ嶽部屋はこの雑さを武器にして、ペルーあたりから連れてきた力士を琴南米、ナイジェリアかどこかから連れてきた力士を琴阿弗利加と名付け、「大陸力士シリーズ」で売り出す手もあるかもしれない。
把瑠都という名前は、出身国のエストニアがバルト海に接していることから来ているのだろう。まるで暴走族の当て字である。
黒海の出身国グルジアも、海の黒海に接している。
ヨーロッパ系の外国人力士の名前は、彼らからすると、日本人プロレスラーがアメリカに行って、わけのわからないリングネームをつけられてしまったようなものではないか。
親方衆も、もう少し考えてやってよさそうなものなのに、と思う。