滝田美人

 電車に乗っていたら、向かいの席に女性が座った。
 顔が漫画家の滝田ゆうの描く美人そのまんまなので、驚いた。


 滝田ゆうの描く美人というのは、こういうのである↓。


「下駄の向くまま」の表紙


 いや、ホント、逆三角形に近い顔の形といい、目、鼻、口といった各パーツの離れ具合といい、クリソツであった。


 では、現実に存在した滝田ゆう美人が、現実の基準に照らして美人だったかというと――そうでもなかった。
 ある種の魚の顔を見ているようで、まあ、その、水族館では美人のクチかもしれない。


 美人の基準というのは何なのだろうか、と、しばし考えた。


 もちろん、人によって好み、評点や方向性はいろいろ違うだろう。女装したみのもんたに抱きつきたくなる人がいたって、他人がとやかく言う筋合いではない。


 しかし、ほぼ共通して「美人である」とされる美人も、一方でいるのである。