迷惑について

 昨日、列に並ぶのも、後ろに並ばれるのも苦手だ、という話を書いた。


 ――というより、途中から妙な不器用自慢になってしまったが、まあ、わたしは物をつかめただけで頭の中に「Good job!」のサインが点るくらいだから、仕方がない。


 さて、列に並ぶのも並ばれるのも、という話の続きだが、これ、つまりは迷惑をかけられるのもかけるのも嫌だ、ということだと思う。


 今の日本はモラルが崩壊しているだの何だのと言われるが、「人に迷惑をかけてはいけない」ということについては、割によく守られていると思う。


 で、そこから「人に迷惑をかけなければ何をやってもいい」という考え方も派生しているわけだが、是非については置いておく。というか、馬鹿のわたしの手には負えない。


 わたしくらいの年で独身だと、「なぜ結婚しないのですか」と訊かれることがある。
 同世代の他の独身男の理由は知らないが、わたしの場合、煎じ詰めれば、人に迷惑をかけてはいけない、という一条に尽きる。


 知り合いの奥さんがメキシコ人で、彼女に言わせると、「日本人は迷惑かけることを気にしすぎる」のだそうだ。「もっとどんどん迷惑かけちゃえばいいのよ」。
 そうか! と思って、いきなり抱きついたら、見事な内股で投げ飛ばされた。


 どんどん迷惑かけちゃえばいいのよ、というのが、この奥さん独特の意見なのか、メキシコ人が一般にそういう考え方をするのかは知らない。


 肩の力がふっと抜けるいい意見だと思うが、「それでは、早速、迷惑かけて参りましょー!」とはいかないところが、黄肌出っ歯眼鏡民族のちんまりとした部分だ。おおらかさに欠けるということなのかもしれない。


 しかし、これが酒の席になるといきなりだらしなくなり、溶けながら、まわりにどろんどろんに迷惑をかけまくってしまうのだから、黄肌出っ歯眼鏡民族はよくわからない。


「ぇおう、ぅおれの酒が、飲めねっ、てのかー、ぇおう! (おぇっ)」


▲一番上の日記へ

                  • -


「今日の嘘八百」


嘘百八十一 みのもんたファシズムが深く静かに進行している。