宣言

 広告に、よく「〜宣言」というコピーが使われる。


 例えば、先日、NTTドコモが新聞広告で「FOMAアンテナ増量宣言」と謳っていた。


 わたしは斜に構えがちなこともあり(おかげで歩きにくくてしょうがないのだが)、「知らんわ、そんなもん」と心ひそかにツッコミを入れた。


 朝日新聞も、確か、「ジャーナリスト宣言」という広告を打っていたと記憶している。別に、いちいちそんなこと宣言せんでも、と思う。
 それより、つまらない駄洒落の見出しと、皮肉の空回りが切ない「素粒子」欄をやめてほしい。それでとりあえず結構だ。


 郵便受けに、引越会社の「引越応援宣言」と書かれたチラシが入っていたこともある。


 ジャーナリスト宣言と同じで、それ、そもそも本業だろ、とこれまた、心ひそかにツッコミを入れた。


 もっとも、この会社に頼んだら、うんうん言いながら荷物を運ぶわたしの後ろで、社員やアルバイトのミナサンが「フレー! フレー!」、「わっしょい! わっしょい!」と応援してくれるのかもしれない。
 それならば筋は通っている。会社の売り上げは恐るべきスピードで減少するだろうが。


「〜宣言」というコピーは、まあ、一種の景気づけで、言葉に勢いを出したいのだろう。「!」のマークにしてもいいところを、少々、ひねっているのだと思う。


 しかし、多用され過ぎていて、いささか安直かつ押しつけがましい。
「おれはこうする!」と一方的に訴えるばかりで、メッセージを受け取る側のことを考えていない印象を受ける。


 よほどうまい仕掛けや状況の中に埋め込まない限り、やめておいたほうがいいコピーだと思う。


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「今日の嘘八百」


嘘百七十六 昨日、生き方にイエロー・カードを出されました。