季節外れかつ、時期遅れの話になるが、少し前に「粉雪」という歌が流行った。
よくあちこちでかかっていて、耳にした。
今、調べてみるとレミオロメンというバンド(ですよね?)の曲だそうだ。
割と好きな曲だったが、誰の曲かは知らなかった。
粉雪。
いいですよね、ロマンチックできれいで清浄な感じがして。
わたしは北陸の富山市で生まれ育った。
冬には、結構、雪が降る土地だ。
ただ、あまり粉雪は目にしたことがない。
富山市に降るのは、ぼた雪という粒が大きくて重いタイプで、文字通り、ぼたっ、としている。
粉雪ではなく、ぼた雪になるのは、気温のせいなのだろうか。冬の富山市は雪は多く降るけれども、気温はそれほど(例えば、長野や北海道ほどは)低くない。
粉雪とぼた雪の違いは、積もった雪を蹴ってみればわかる。
蹴ると、粉雪はパッと美しく散るが、ぼた雪はどしゃっ、と持ち上がる。
重い雪なので、雪かきをすると土木作業をしている気分になる。というか、土木作業そのものだ。
粉雪の場合、「♪粉雪舞う季節は〜」と静かに歌い出せる。しかし、ぼた雪の場合は「♪ぼた雪のしかかる季節は〜」といきなり生活の沈滞感から始まる。
何より、サビの印象が違う。
♪粉雪〜、ねえ、心ま〜で白く〜
美しいイメージだ。ピュアである。一方、富山市の現実に即すと、
♪ぼたぁ雪〜、ねえ、体ま〜で重く〜
どうも、ぱっとしない。
今ひとつぱっとしない北陸の平野部に生きる少年少女達よ。
そのぱっとしない感覚をこそ大切に、育ってほしい。
そうした感覚がすぐに役立つことはないけれども――将来、こういうひねくれた文章を書くとき、役に立ちます。
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「今日の嘘八百」
嘘百七十 玉手箱に込められていたのは、「人生、亀を助けたくらいで万事うまく行くほどチョロくはない」というメッセージである。