演歌の節

 最近、演歌はあまり流行らないようで、大ヒットしたという話を聞かない。


 氷川きよしは若手で唯一成功しているようだけれども、ヒット曲の数という点からするとどうなのだろう(箱根の歌とバカの歌はヒットしたようだけど)。


 演歌が何曲も大ヒットできたのは、わたしが二十代前半の頃、1990年頃までだと思う。


 しかし、すり込みというのは恐ろしいもので、わたしの世代だと、好む好まないを別にして、「演歌的感覚」というものを強く持っている。


 こんな遊びがある。


 何人かいる場で、歌詞はなし、タラリラ〜でいいから、順番に即興で演歌調の節を歌う。ひとり一節ずつ歌って、つなげていく。


 例えば、ひとりめが、


♪ミミ〜レ、ミ〜ソラ〜ソ〜、ミソミレ、ド〜ドレミ〜


 と歌い出したら、ふたりめが、


♪ララ〜ソ、ラ〜ドド〜ラ〜、ソラソミ、ソ〜ソラ〜ソ〜


 などと続けるのだ。以下、その場にいる全員で、順番に、出たとこ勝負で回していく。


 まあ、時々ヘボが出たりもするけれど、たいがい、ちゃんと演歌っぽいものができるし、延々とつなげられる。
 勘のいいヤツがいれば、途中、サビで盛り上げたりもしてくれるだろう。


 なかなか面白い遊びなので、酒の席などで興じてみていただきたい。


 こういうことができるのは、子供の頃からテレビなどで演歌を聞いてきたからだと思う。別に好きでなくても、染みついていったのだろう。


 今の二十歳くらいの人々はどうなのだろう。即興で演歌の節を作る、なんてこと、できるのだろうか。
 我々の世代ほどは演歌を聞いていないだろうから、もしかしたら難しいかもしれない(二十歳くらいのヤングなミナサンがいたら、教えてください)。