コップの中の嵐その3

 3つめの話は、現在進行中だ。ご存じの方も多いかもしれない。「スプー」の件である。


 NHKの「おかあさんといっしょ」で、しょうこおねえさんが「スプーのえかきうた」にあわせ、スプー(「おかあさんといっしょ」に出てくるキャラクターらしい)の絵を描いた。
 その絵があまりに凄まじいので、ネット上で化け物扱いされ、もの凄い勢いで広まっている、と、そういう話だ。


 放送時のムービーは先日までYouTubeで見られたのだが、削除されたらしい。


 次のものは、映像は「おかあさんといっしょ」だが、音楽は別の誰かがかぶせたものだ。くれぐれも誤解なきよう。


「おかあさんといっしょ」の映像+誰かの音楽 - YouTube


 で、しょうこおねえさんの絵はインターネット内でワーッと広まり、次々とバリエーションが生まれた。


 例えば、立体模型がYahoo!オークションに出品された。


【描く前から】例の化け物【半笑い】 - Yahoo!オークション


 次の映像を見る限り、状況はよくわからぬが、地球も侵略されたらしい。ボクはここだよ! 助けて!! レジスタンスの人!!!


スプー襲来 - 2ろぐ


 もちろん、しょうこおねえさんは、これらの派生物について、著作権を主張し、訴訟を起こすことができる。


 スプーの「絵」は、しょうこおねえさんの著作物だ。著作権はしょうこおねえさんの死後50年保護され、正統な相続人がその権利を行使できる。
 絵を描くのにかかった時間が1分だろうが10年だろうが関係ないし、その場のなりゆきでできた絵か熟慮を重ねた末に丁寧に描いた絵かも関係ないし、上手い下手も関係ない。
 しょうこおねえさんには、自らの創造物およびその意匠についての権利が保障されている。


 しかし、しょうこおねえさんは、たぶん、これら派生物に対して、著作権を主張しないだろう。


 しょうこおねえさんが、現行の著作権法について疑問を持っているからではない。
 しょうこおねえさんが、“いい人”だからでもない。
 しょうこおねえさんが、日本で皇族の次に行動の自由を制約される「おかあさんといっしょ」のうたのおねえさんだからでもない。


 しょうこおねえさんは“恥ずかしい”からだ。


 さて、ヴィジュアルな著作物についての、コップの中の嵐3つを見てきた。わたしが一番面白いと感じる嵐は、最後のコップのものだ。


 この広がり方と勢い。コップの中は凄いことになっていると思う。この凄さに比べれば、DOB君にまつわるあれやこれやなんて、鼻クソみたいなものではないか。


 しかし、この凄さの何がどう凄いのか、実はわたしにはよくわからないのである。


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「今日の嘘八百」


嘘百五十 日々、感動しすぎで、これ以上、感動できなくなりました。