HACHI

NANA」という作品が売れているということは知っている。ただ、漫画も映画も見ていない。


 いろいろと漏れ聞く話からすると、田舎から上京したナナと奈々という娘ふたりがそれぞれ歌手になったり、恋をしたり、と、そういうお話らしい。


 いえ、何も文句はございません。


 で、だ。7が売れるんなら、8ではどうか、と考えた。


 タイトルは「HACHI」。
 主人公はハチと八という夢見る男ふたりである。ひとりは秋田出身だが、東京暮らしがだいぶ長い。もうひとりは東京の下町育ちだ。


「おぅ。おらぁ、忠犬になるぜ」
「そうか。おらぁ、恋をするぜ」
「しっかりやんなよ。辛抱するんだぜ」
「おぅ。おめえもな」


「おぅ」の部分は「えぅ」に近い発音で、イナセに半オクターブ高く発していただきたい。


 ストーリーの続きは、考えても不毛な気がするので、ここでよしておく。


 7、8が行けるなら、6でもいいだろう。


 斎藤清六と永六輔が出会う。


「あの、ボク、げ、芸人になろうと思うんですけど……。この間、大将から声をかけていただきました」
「そうですか。ボクは、今、日本から由縁ある地名がどんどん消えていくことに、とても危機感を持っているんですネ。日本語には、『身の丈に合った』という美しい言葉があります。尺貫法は、『身の丈に合った』家を作るための、先人の知恵なんです。せき、こえ、のどに浅田飴


 どうもあまり噛み合わないようだ。かくして、「ROKU」は、特にふたりの人生が交差することもないままに終わるのである。


(ちなみに、舌が長くなったつもりで、歯で舌を軽く噛むようにして発音すると、永六輔に近づけます)


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「今日の嘘八百」


嘘百四十四 欧米人は狩猟民族なので、パンやビールやワインを狩猟している。