いきなり比較言語学

 罵倒語というのか、卑俗語というのか、「汚い言葉」というのがある。


「汚い言葉」といっても、「痰壺ジュルジュル」とか、「下水道逆流大噴出」とか、そういうのではない(うう。申し訳ない)。


 日本語と英語では、「汚い言葉」の発想がかなり違うんではないか、というのが今日のテーマだ。


 例えば、日本語では「畜生!」という言葉をよく使う。しかし、英語で「Animal!」などと言うことはまずないと思う。


「畜生」という言葉が、どういうふうな流れで罵倒用に使われるようになったのかは知らない。
 もしかしたら、六道(ひどい順に、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天)の考え方が、知らず知らずのうちに反映しているのかもしれない。


 逆に、英語で、宗教が多少関係していそうなものとして、「goddamned」という言い方がある。「ガッデーム!」という例のアレだ。


「神の呪いを!」といったところだろうか。
 ただし、「おはよう」を「朝が早いですね」と意識して使うことがないように、「goddamned」も、特に「神」だの「呪い」だのを意識して使うことはないんじゃないか。知らんけど。


 英語で、すんげえなあ、と思うのは、「son of a bitch」、略称「SOB」というやつだ。カタカナで表記するなら、「サノバビッチ」。


 そのまま訳すと、雌犬の息子、である。雌犬は相手を選ばず交わる、というところから来ているのだろう(雌犬のミナサン、すみません。わたしがそう思っているわけじゃないのです。お願いだから、ジステンパーをうつすのはやめてください)。


 誰とでもヤッちゃう女の息子、というわけで、発想としては「おまえの母ちゃん、デベソ」に似ている。しかし、はるかに強烈である。


「fukin' ○○」とか、「Fuck!」というのもある。
 ハリウッド映画を見ると、1本につき10〜20回くらいは出てくるんじゃないかというくらい、多用される言葉だ。ただし、アメリカのテレビでは規制されているらしい。
 これに対応する日本の言葉は、罵倒用としてはないように思う。


 案外、日本語と英語で、共通する発想は少ないようだ。「Shit!」と「クソッ(クソッタレ)!」くらいではないか。


 そんなわけで、今日は勤労感謝の日。1日ゆっくり休んで、夕方、食卓を囲みながら、日英の汚い言葉について、家族で語り合ってみてはいかがでしょうか。
 話もはずみ、一家団欒の楽しいひとときを過ごせると思いますよ。


 では、また。


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