中学・高校時代というと、わたしが凄まじい美少年だった頃のことである。
街を歩けば、すれ違う女性達が、「ああっ」、「ああっ」と次々に失神するので、往生した覚えがある。
何かの理由で、全校集会で登壇したときには、居並んだ生徒のうち、女子生徒だけが全員、失神した。
各クラス、男女別に列になっていたので、体育館にきれいな縞模様ができた。
まあ、そんなことはどうでもよい。
自分で書き始めておいて、そんなことはどうでもよい、もないもんだが、そんなことも、ま、どうでもよい。
ああ、よいよい。
中学・高校にこんな部があったらどんなものか、と、あれこれ考えてみた。
・ナゾナゾ部
新入生が「ん? この部、何だ」と、うっかりドアを開ける。
いきなり、
「大山倍達より1.5倍強いのは誰かっ?」
と、ナゾナゾが飛んでくる。
「え?」と、呆気にとられていると、
「答は大山三倍達だっ。馬鹿者めがっ!」
と、先輩に怒られる。
ここの生徒達は毎日、放課後2時間、みっちりナゾナゾを出し合い、解き合うのだ。
夏の合宿なんぞは、ある意味、地獄だろう。
・桃色遊戯部
部室の前に掲げられた木の板に「桃色遊戯部」と桃色の文字で書いてある。
それだけで、萌え出ずる春の満たされぬ少年達は、「い、いったい、何をしているのだろう?」と、精神的に右往左往するはずだ。下手すると、想像だけで鼻血が出てしまう。
中から、かすかに声が聞こえてこようものなら、大変である。
あっはんうっふん、なんていうのは、どうも、ストレートで面白くない。
ここはひとつ、うふふふふ、と、ちょっと媚びを含んだささやき声で行ってほしい。花鳥風月を解するこの年になると、つくづくそう思うのである。
想像をたくましくさせる。これが、萌え出ずる春の満たされぬ少年達には効くのだ。
中に入る勇気のない少年は、家に帰ってからも、「あの部屋の中はどうなっていたんだー!」と、悶え苦しむはずである。
でもって、桃色遊戯部顧問、というのが、見るからにアブラギッシュな、はげた先生だと最高だ。
・縄部
部室の前にこう書いてあって、中から女子生徒の声で「もっとキツく縛って!」という声が聞こえる。
ああ、あ、ああああ、と思いながら、勇気を振り絞って、ドアを開ける。
中では、女子生徒の命令のもと、男子生徒達がうんうん唸りながら、古新聞を縛っていた。
――ヤラシイことを想像したミナサン、残念デシタ。そうはうまくいくものか。