困る

 昨晩、マンションから外に出ると、フリルだらけの白い服を着た女性に出くわした。
 映画の「下妻物語」で深田恭子が着ていたような、ロリータファッションというのか、ロココというのか、ああいう服(わからん人はGoogleで「下妻物語」と検索していただきたい)。


 瞬間の出来事なので、細かなところまではつかんでいないが、レースの手袋とソックスに、赤ん坊がかぶるような帽子もかぶっていたような覚えもある(今、頭の中で記憶を勝手に作りあげたかもしれない)。


 ともあれ、全身、白ずくめでフリルずくめである。古事記なら、シロゴロモノフリルヅクメヒメとでも名づけられそうな姿だ。


 普通の住宅街でそんな人に出くわすとは思いも寄らなかったので、ちょっと驚いた。顔が坂上二郎だったので、もっと驚いた。


 女性の年齢はわからない。案外、若くて、十代なのかもしれないが、何せ顔が二郎さんである。規格外だ。


 ああいう格好をして遊ぶ場があって、そこからの帰りなのか、普通にああいう格好をしている人々が割にいるのか。


 ともあれ、困った。いや、もちろん、どんな格好をしようとその人の勝手だが、こっちも困った。


 なぜったって、住宅街で、二郎さんが、全身白のフリルフリフリなのである。


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