わたしの文章作法〜その九


 長くて、わかりにくい文章は、役所の書類によく見られる。


 今、テキトー国土交通省のサイトから報告書をダウンロードしてみた。


公用車について、不規則・緊急な事態への迅速な対応の確保や職員運転手の雇用問題に留意しつつ、交換時期等を勘案し、平成25年度までに99台削減する。


また、共用利用の一層の推進等さらなる効率的な運用に努めるとともに、アイドリングストップ霞ヶ関ノーカーデーの実施、低公害車の導入による燃料費の削減、運転業務の民間委託や共用自転車の利用により、経費の削減を図る。


 典型的な役所文体で、悪文である。一文が長すぎる。
 気を入れて読まないと、内容をきちんと理解できない。


 この報告書のタイトルは、皮肉にも、「国土交通省行政効率化推進計画」だ。
 少なくとも、読む人に理解してもらう、という点では、効率の悪い文章である。


 役所の文章が全て悪文、わかりにくい文、というわけではない。
 広報発表資料には簡潔にわかりやすくなるよう、配慮しているものが多い。書く人によっても、違いはあるだろう。


 しかし、一歩踏み込んで、普通の人が読まないような報告書を読むと、長ったらしい文章が多い。


 書いた人が、ヘタクソなせいばかりではない。
 役人には、関係各方面への配慮と、失敗(記載漏れ)への恐れがつきまとう。それらが、おそらくは役人本人も意識しないうちに、文章に表れるのだ。


 引用文でいえば、「不規則・緊急な事態への迅速な対応の確保や」、「職員運転手の雇用問題に留意しつつ」、「交換時期等を勘案し」に、配慮と恐れが出ている。


 記載漏れは、もちろん、いかんだろうが、今の例でいえば、


 公用車は平成25年度までに99台削減する。その際、不規則・緊急な事態に迅速に対応できるよう留意する。また、職員運転手の〜


 と、文章を分ければいいのだ。


 文章作法というより、役所文体バッシングになってしまった。
 まあ、役人というのはサンドバックだ。新聞、週刊誌、居酒屋でよく叩かれ、ストレス解消に役立っている。それが彼らの役目でもある。


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