わたしの文章作法〜その八


 今まで文章をあまり書いたことがなく、これから文章を書いてみようか、という人に、ちょっとしたアドバイスをしてみる。


「おこがましい」、「謙譲の美徳」なんて言葉は、三千光年の彼方へとキックする。
 悔しいヤツは亜空間をワープして、取り戻してこい。そのすきに、こっちはさっさと書き終えているという寸法だ。ザマーミロ。


 えーと、これから文章を書こう、という人に対して、だった。


 わたしは、まずは短い文を並べていく、というのがいいと思う。
 例えば、


「僕はひどく不器用で、券売機にコインを入れようとすると7割方、コインを落とすし、財布からお札を一枚だけつまむことがなかなかできないで、千円のところをつい二千円払ってしまう。」


 なんていうのは、


「僕はひどく不器用だ。券売機にコインを入れようとする。7割方、コインを落とす。財布からお札を一枚だけつまむことがなかなかできない。千円のところをつい二千円払ってしまう。」


 と書けばいい。


 書き終えたら、文章を読み直してみて、「この文とこの文はつなげたほうがリズムがよさそうだな」と思ったら、ひとつの文にすればいい。よくわからなければ、短い文のままで構わない。
 あれこれ続けているうちに、だんだん文章に慣れてくる。


 短い文は、少なくとも、読む人にとって、わかりやすい。
 最初から美文やテンポのいい文を書こう、というのは急ぎすぎだ。ピアノを習い始めた人が、いきなり名演をしようと考えるようなものである。