東京美人手帖

 今日はあまり時間がないので、さっさと行く。ゴメンヨ!


 電車に乗って、ぼんやり中吊り広告を見ていた。
 私はあまり雑誌を読まないが、中吊り広告や新聞広告などに載る見出しはよく楽しんでいる。


 その中吊り広告は「FRaU」という女性誌のもので、「東京美人手帖」という特集を組んでいた。


 その中に、こんな見出しがあった。


今、美人たちはどこに集い、何を語らっているか?
TOKYOビューティの5W1H


 美人が集う場所がある、とは思ってもみなかったので、ちょっと驚いた。
 ブスが間違って混じろうとすると、ハジかれるのだろうか?


 美人といってもいろいろな人がいると思っていたのだが、「何を語らっているか?」と書いてあるところからすると、どうも、美人特有の話題というのがあるらしい。


「最近、お肌の具合はいかが? 美人」
「ええ。調子がよろしくてよ。美人」


 などと、会話しているのであろうか。


 んー、ちょっと違う気もしてきたな。


 さらに驚いたのは「東京美人レストラン・ガイド32」という記事だ。サブの見出しがある。


1 おごってもらう気分も格別 女性に値段ぬきのメニューをくれる店
2 ここにはアラの隠せる照明がある 夜景じゃなく、私がキレイに見える店
3 効果は間違いなく肌に出る 勝負日前に行くオーガニック・レストラン
4 美人にやさしい8大銘柄食べくらべ 東京ブランドポーク・ダイニング
5 リラックスだって美しく 脚に自信が持てる魔法のイスがあるカフェ


 これでは、完全に男どもは手玉にとられているではないか(といって、「男性にも値段ぬきのメニューをくれる店」だったら、もっとオソロしいが)。


 特に、2。
 そのレストランでうまいことアラを隠したって、明るいところに出たらダイナシであろう。明るいところでは会えない――まるでモグラかミミズである。


 まあ、それでは何かと不便だ。明るいところで正体がバれて男が逃げ出す前に、速攻で抜き差しならないところまで引きずり込むのかもしれない。


 モグラ、ミミズ、そしてアリジゴクを思い浮かべた。


 それから、4。
「美人にやさしい8大銘柄食べくらべ」って、じゃあ、ブスに8大銘柄は酷(むご)いのか? それではあまりにあまりじゃなかろうか???


 それに、「東京ブランドポーク・ダイニング」などと気取ったところで、漢字に直せば「東京有名銘柄豚肉食堂」だし。


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