だんじり祭

 昨日、ちらりと書いた「だんじり」だが、お祭りに出てくる山車(だし)のことである。


 関西を中心に西日本でそう呼ぶらしいが、何と言っても、大阪・岸和田の「だんじり祭」が有名なので、「だんじりといえば岸和田」という公式ができている。


 岸和田の住民や出身者には申し訳ないが、私は岸和田についてかなり特殊なイメージを抱いている。


 何しろ、私が知っている岸和田出身の有名人といえば、清原、ファッションデザイナーのコシノ三姉妹、「岸和田少年愚連隊」の作家・中場利一である。特殊なイメージを抱かざるを得ないではないか。


 もちろん、岸和田にはもっとフツーの人も住んでいるだろう。
 岸和田の街を、あんな破壊力のある人々ばかりがノッシノッシとカッポしているはずがない。オッサンは全て清原か中場利一で、オバハンは全てコシノ三姉妹なんて、オモシロすぎる。


 そして、岸和田といえば、何と言っても、だんじり祭である。実は、岸和田についてはそのくらいしか知らないのだが。


 普通、お祭りの山車というと、京の祇園祭の山鉾や、高山祭の屋台(えーと、捻り鉢巻きのおっちゃんがトウモロコシやジャンボフランクを売っているやつではなくて、高山祭の山車のこと)のように、お囃子に合わせて、トロトロと進む。


 しかし、だんじり祭のだんじりの凄さは、その突撃度だ。


 まずは、こちらの映像をご覧いただきたい(Windows Media Playerが必要)。


2002年度だんじりインターネットビデオ放送


 捨て身である。まかり間違えば人が死ぬだろう。
 実際、コケて、だんじりに轢かれたり、だんじりが遠心力で横転したりして、人が大怪我したり、死んだりすることもあるらしい。


 この映像があるサイトの「祭り舞台裏」のページを見ると、「ハッピ」の項に「ぴたっと身体にフィットしているものでもないので、転倒した際、ハッピの袖や背中などをつかんで、助けやすくなります」、「地下足袋」の項に「第一に、ぬげません。走っているとき、後ろの人にかかとを踏まれてしまうこともあります。靴ではぬげて危険です」、はちまきの項に「これも転倒したときに備え、頭を守っているのです」と書いてある。


祭り舞台裏


 コケるのは当たり前、コケたとき、どうするか、という視点で構えているわけだ。


「危ないから、ゆっくり移動いたしましょう」なんていう、戦後民主主義的パパ・ママ安心思想は、ここにはハナっからないのだ。
 もちろん、だからこそ、だんじり祭は素晴らしいのだが。


 岸和田の人々にも、だんじり祭で人が死ぬのは仕方がない、という考え方があるようだ。


 やはり、同じサイト内から。


祭の犠牲者なくしたい〜慰霊祭のはじまり〜


 この福田志げさんのことはともかく、「そういやあ、あそこの角で亡くなったいうのん、聞いたことあるなあ」、「上熊(かんくま)いう男が死によった。はぶりのええ男やったでえ。名前?さあ、わからへんなあ・・・」、「本人は、死んで本望かもしれんが、遺族の方がなあ・・・」という言葉が、生っぽい。


 30年近く前の記事のようだが、映像の迫力を見る限り、今も、あまり感覚は変わらないのではないか。