馬名

 私が競馬を見ていたのはナリタブライアンマヤノトップガンくらいまでだから、10年も前のことになる。
 その後は、せいぜいテレビのニュースでたまたま出てきたら見るくらいで、この10年間のスターホースについては全然知らない。


 昨日の天皇賞も、ニュースで見ただけだが、勝ったこの馬、どうなのか。


 スズカマンボ


 いや、馬の能力や血統、ルックスがどうのというのではない。名前だ。
天皇賞馬 スズカマンボ」。ふざけているのかと思う。日本一の馬とは思えない。


 母がスプリングマンボ、母の父が有名種牡馬Kingmamboだからそういう名前にしたのだろう。
 血統を名前に活かすのはいい。むしろ、賛成したい。問題は「スズカ」だ。


「スズカ」はいわゆる冠名というやつで、馬主が自分の所有馬に共通してつける。確か、昔、サイレンススズカという馬もいて、人気があったと思う(競馬に興味がなくなった後なので、よく知らない)。


「スズカ」に限らない。競馬を見ていた頃から、冠名が嫌いだった。何かこう、馬主の自我を見せられているようで、臭うのである。
 馬の個性の印象も、薄めてしまうし。


 それにしても、馬主にはネーミングのセンスのない人が多い。いっそ、こういうのは、そのダメっぽさを楽しんだほうがいいのかもしれない。


 昨日の天皇賞出走馬から、イケてない名前を見ていこう。


 ビッグゴールド


 二着馬が、いきなり、これである。パチンコ屋や怪しげな精力ドリンクじゃないんだからさ。
 馬連は、スズカマンボ×ビッグゴールド。二頭揃うと、何かこう、ダメの味わいがいっそう、深く、濃く――。


 ハーツクライ


 心が叫ぶ、なのか。なぜハーツ、と複数形にしたのかはわからないが、馬のハートではなくて、関係者や観客のハートを指しているのかもしれない。
 しかし、あくまで私の英語の感覚だが、“cry”というのは、どちらかというと、泣き叫ぶほうではなかったか。
「ああ、もう、何で負けんだよ〜」と、馬券を握りしめて悲嘆に暮れる人々。


 マイソールサウンド


 なぜ、「ソウル」でなく、「ソール」なのか――と一瞬、思ったのですが、sole=ひづめの底、という意味がありました。失礼しました。


 ユキノサンロイヤル


 ススキノのサウナかなんかじゃないんだからさ。あるいは、リンゴの品種とか。


 チャクラ


 いや、これはイケてないわけじゃなくて、いきなり意表をつかれて、驚きました。


 アクティブバイオ


 んーむ。意味不明である。何となくヤバそうな印象を受けるのは、私だけでしょうか。


 これらの馬主。お前ら、天皇賞で勝つ気があるのか! と、吠えたいところだが、JRAに登録するとき、そこまでは見通せないのデシタ。
 しかし、もうちょっと洒落た名前をつけてもいいのに、と思う。一応、人気商売なんだから、競馬も。


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