どちらを褒めるべきか

 しばらく前に化粧について書いたが、そのとき、書き漏らした問題があった。
 女性に対して、化粧した顔を褒めるべきか、化粧を落とした顔を褒めるべきか、という問題である。


 普段、化粧をしない人や、化粧した顔しか見せない人に対してなら問題ない。「ビューチフルです、プリチーです、ウツクチーです」と賛美しておけばよい。


 しかし、化粧をしたりしなかったりという女性に対してや、化粧を落とした顔を見せてくれるほど親しくなった場合、これは難しい。


 女性は(別に男性でも構わないが)、より美しく見せ(かけ、と書くと怒られるのかもしれない)ようとして、化粧をするのだろう。
 しかし、「いやあ、化粧、上手いですねえ」と褒めたら、馬鹿にされたような気になるのではないか。
 あるいは、「化粧すると、美しいですねえ」と拍手すると、地雷を踏むだろう。


 かといって、化粧していないときに「スッピンのほうがきれいじゃないですか」と言うと、なんだか、化粧がヘタクソだ、と揶揄しているようにも聞こえ、具合が悪い。


 つまり、化粧を褒めるべきか、素顔を褒めるべきか、というのは、技術とセンスを褒めるべきか、素材を褒めるべきか、という問題なのだ。


 もちろん、両方褒める手もある。寿司屋に「ネタがいいねえ。それをオヤジさんが握ると、さらに旨くなるねえ」と言えば、オヤジさんも悪い気はしないだろう。
 しかし、化粧についてとなると、これが難しい。「素顔もきれいだけど、化粧するともっときれいだ」とやると、素顔の限界を指摘したようにも聞こえてしまう。


 「素顔がきれいだねえ。でも、化粧すると、また別の美しさが出てくるねえ」と両面作戦でかわす手もあるが、それも空々しい。


 スルドい方は気づいたかもしれないが、私はお世辞の言い方について書いている。本心なぞ、この際、どうでもよい。
 私はこれでもサービス精神旺盛な男なのだ。ただし、「サービスの方向が間違っている」というのが、しばしば指摘されるところではある。


 んー、ともあれ、この日記を読んでいらっしゃる女性は、皆さん、とても美しい! あたしゃあ、思わず、クラクラッと来ました。
 もうね、あたしが言うんだから、間違いないですよ。素顔もきれいだし、化粧がまた上手い! 言うことナシっ!! ホイー、ホイ、と。


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