さらに恐るべき魔法

 ブギウギの原産はアメリカだが、日本にもこれに匹敵する魔法の言葉がある。いや、もしかしたら、ブギウギよりその破壊力は強力かもしれない。


  音頭


 である。


 音頭の凄いところは、ブルースやブギウギが何かしらのドラマを感じさせるのに対して、ストーリー性というものをハナっから無視しているところだ。


  郵政民営化音頭
  リストラ音頭
  体制崩壊音頭
  戸越銀座音頭


 どれも、パーなばかりで、なーんにもドラマを想像できない。


 当然、思想性なんていう小賢しいものは、まるっきりない。そのことは、東京音頭の歌詞を見てみればわかる。


♪ハァ〜、踊り、お〜ど〜るなァ〜ら
 チョイト、東京音頭ォ〜、ヨイヨイ
 花のみ〜や〜こォ〜のォ〜
 花の都の〜ま〜ん中でェ
 サテ、ヤァ〜ト、ナ〜ソレ、ヨイヨイヨ〜イ
 ヤァ〜ト、ナァ〜ソレ、ヨイヨイヨ〜イ


 花の都の真ん中で踊りを踊るなら東京音頭。言葉で伝えているメッセージは、たったそれだけだ。見事なまでの無内容ぶりである。


 浮かれ踊って、パーになって、全てをナシにしてしまう。音頭というのは、実は恐るべき魔法の言葉なのだ。


 ミナサンも、いろんな言葉に、ブルース、ブギウギ、音頭の魔法をかけて遊んでみてください。あ、南米方面のノーテンキな魔術に、「マンボ」というのもありますよ。


 では! ブギウギ〜♪


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