病は気から

 血液製剤フィブリノゲン」が納入された可能性のある医療機関のリストが発表された。フィブリノゲンには、一部、C型肝炎のウイルスが混入している。


 私は20歳の頃に、盲腸の手術を受けた。盲腸の手術でフィブリノゲンを使うのかどうかは知らない。
 リストを見てみると、手術を受けた病院も載っている。「嫌だなあ」と思いながら、C型肝炎について見てみると、「全身の倦怠感」、「吐き気」が起きる、と書いてある。
 読んだ瞬間、全身の倦怠感と吐き気を覚えた。笑っちゃうくらい、現金な体である。いや、こういうとき、「現金な」という言葉は使わないのかな。


 まあ、瞬時にしてC型肝炎になるということもないだろうから、「病は気から」の類だろう。


 人の体とは不思議なもので、その気になれば病気になれる。
 私は子供の頃、どうにも学校に行きたくないとき、よく病気になった。仮病ではない。精神一到何事か成らざらん、自らの強い意志によるものだ。
 そんなやつが学校に行きたくない、というのもどうかしているが。


 逆の現象もあって、確か、プラシーボ効果と言ったと思う。
 患者に小麦粉か何か、偽の薬を与えると、治ってしまう現象だ。どういう理由によるのかは知らないが、「これで治る」という気持ちや精神的な安定が、自然治癒力を高めるのかもしれない。


 そういえば、昔、中曽根康弘大勲位が首相だったとき、放射能による後遺症に苦しむ原爆被災者を前にして、「病は気からと申します」とやらかしたことがあった。


 もの凄いブラックジョークである。歴代首相の中で、最高の出来ではないか。
 いや、皮肉ではない。心からそう思っている。


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