いろは四十八組

 江戸には町火消しの四十八組というのがいて、この制度は大岡越前がこさえたものなのだそうだ。
 さらにその元となった進言は荻生徂徠によるものだそうで、自分でも何に感心しているのだかわからないが、感心はする。


 意外なところに歴史上の有名人が登場すると、うれしくなるものなのかもしれない。


 まあ、それはいいのだが、いろは四十八文字を順に当てはめられて、こうなった町内の血気盛んな人々は、カクンと来たんじゃないか。


 へ組


「おう、俺ぁ、へ組の八五郎っていうもんだけどよ」などと、いなせに腕まくりしても、「ああ、への八つぁんね」とまとめられると、シオシオになったろうと思う。


 念のためにインターネットで調べてみると、へ組というのは「百組」という言い方に変えたのだそうだ。そりゃまあ、いくらなんでも「へ」はないだろう、と、関係各方面および犬猿雉、共通の認識があったのだろう。


 どういうわけか、いろは四十八組の中では、め組がメジャーだ。しかし、私なら、ほ組に加わりたい。


 ほ組。いいじゃないですか、何となく色っぽくて。


 「もう、ほのあの人に、ほの字よう」なんて、粋な色魔、じゃなかった年増に言われてね、デヘヘ、なんだか照れちゃうなぁ。さいならっ!


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