馬鹿とバカ

 時々、ごっちゃにしてしまうこともあるのだが、この日記では一応、馬鹿とバカを区別して使っている。


 バカは素晴らしい。人を幸せにする。
 しかし、馬鹿はツマラないし、迷惑だ。


 イラクで人質になった青年はどうやらバックパッカーのようだ。


 推測だが、イラクに入った理由は、好奇心だけだったんじゃないか。本人もビデオの中で「すみませんでした」と言っているし。
 好奇心、「何でも見てやろう」というのが、バックパッカーとスカートめくりの行動指針の中心にある。
 そういう意味では、バックパッカーの行動パターンに忠実に動いたのだろうけど、あまりに無謀、脳天気だった。


 生命の危険に晒されている人に、残酷な物言いだが、やはり、彼の行動は馬鹿だ。バカではない。


 彼に同情するのは、大地震と同時期に人質になってしまったことだ。
 多くの人が「この大変な時期に、なんて余計な手間をかけさせるんだ」と、怒りの気持ちを抱いたのではないか(自分達が被災地に対して何かするかどうかは別にして)。
 平時なら「無謀なやつだ。迷惑をかけやがって」くらいで済んだろうに。


 無事に日本に帰れたら、世論の集中砲火を浴びるだろう。
 かといって、殺されるのも嫌だろうし。


 進むも地獄、退くも地獄。本人には進むも退くも、選べない状況だろうけど。