スイカ

 ニュースを見聞したほとんどの人が思っただろう。新潟で土砂崩れの中にいた子供が生きていたことは、奇跡的だった。


 とりあえず助け出された、となると、その後、無事かどうかということがやはり気になる。
 2歳の幼児なので、「可愛らしさ」がニュースとしての売りにもなる。


 というわけで、「父親とよく話している」、「笑顔も見られる」くらいで止めておけばいいものを、「水は飽きた」「スイカが食べたい」「おまんじゅうをいっぱい食べたい」と言ったと、余計なことまで報道される。


 どうして余計かというと、こういう報道は人々の余計な情動を引き起こしかねないからなんですね。


 特に情動がスイカに向かうとマズい。
 病院宛に全国のビニールハウス栽培のスイカ農家から大量のスイカが届くんじゃないか。もらった方も困るだろう。
 かといって、水もかなり届いているようだし、寒い中、スイカでは被災地への支援物資にもならない。


 スイカ農家の、辛抱のしどころだ。