電力

 私が住んでいるのはマンションの5階で、ベランダに出ると、町中に張り巡らされた電線、電話線と、あらゆる屋根に立っているアンテナを目にする。
 「文明というのは、まったく凄いもんだね」と思う。


 何しろ、日本全国ほとんどの家に電線と電話線がつながれ、アンテナが立っているのだ。「文明とは電線を張り巡らせることである」と言っても、過言ではない、ことはなくて、やっぱり、過言である。


 私の父方の祖父は戦死したけれども、兵隊にとられる前は電力会社に勤めていた。父はすでに退職したが、やはり電力会社にいた。
 私が電力会社に勤めれば、親子三代に渡る電力一家ということになったのだが、残念ながら途絶えた。親不孝である。


 あんまり話題になることはないけれども、今は電力が自由化されている。
 が、通信の自由化に比べて成長企業をそんなに聞かないのは、やはり発電所をつくるのに大変な費用がかかるからだろうか。
 風力発電に取り組む企業もあるようだが、政策的・実験的色合いが濃いのだろうと思う。よくは知らないが。


 SOHO(スモール・オフィス、ホーム・オフィス)の電力事業というのを考えた。
 部屋には、スタンドで立てた自転車が置いてある。契約者がちょっとした電気をほしいときに電話をかけてもらう。私は自転車にまたがり、漕ぐ、漕ぐ、漕ぐ。あのライトをつける発電機で電気を発生させ、電線経由で契約者に送る。


 契約者から電話がかかってくる。
「ちょっと弱いんですよ。もう少し送ってください」
 ウオー、と雄叫びをあげ、さらなるパワーで漕ぐ、漕ぐ、漕ぐ。


 ビジネスモデルとしては、相当、ダメっぽいが、誰か起業してみてくれないだろうか。
 ダイエットにも、いいですよ。


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