「ぶっちゃけた話」という言い方がよく使われるようになったのはいつからだろうか。ここ5年くらいの気がするが、ぶっちゃけた話、よくわからない。
最近は言い回しの短い、「ぶっちゃけ」の方がのしているようである。こっちの方が勢いがいいからだろう。
もっぱら、仕事の場で使われるようである。気になる女の子を誘って、
「ぶっちゃけ、お前に恋してる!」
なんて、素敵ではあるが、どうもそぐわない。
待ち合わせの場所に来た女の子に、「いつもお世話になっております」と言うと変なのと一緒だ。
「ぶっちゃけた話」は、たぶん、「ぶちまけた話」が変化したものだろう。
「本音を言うと」とか、「本来なら企業人として隠しておくべき事情をお話ししたいのですが」というのを、勢いつけて言うと、「ぶっちゃけた話」になる。
まあ、勢いで本音、特別な情報を言ってしまう、という線だろう。あるいは、単に勢いがほしいだけ、という場合もある。
「変な話」という言い方もよく聞く。
これ、人によっては口癖のようになっている。
「変な話、うちの会社、会議が長くてさあ」
なんて、変な話でもなんでもないのだが、本人は口癖になっているので、つい頭につけてしまうのである。
この病いが進むと、居酒屋で、
「変な話、ビール2、3本持ってきて!」
などと、わけのわからない注文をするようになる。
「ぶっちゃけ」にしろ、「変な話」にしろ、意識しているかどうかは別として、本音と建て前を気にする人がもっぱら使いそうである。
「いつもお世話になっております」に代表される建て前と、裏表の関係にあるようにも思う。
あるいは、ある種の型に沿う演技や行動のパターンが強く求められる社会ならではの言い回しなのかもしれない。
そういう意味では、「本当の自分」とか、「自分らしく」というフレーズにも通じるところがある。仮面的なものがあまりいらない環境では、たぶん、「ぶっちゃけ」も「本当の自分」も使われないだろう。
「いつもお世話になっております」
「ぶっちゃけ、お世話になった覚えはありません」
この会話、なかなかいいな。相手を混乱させられる。現代社会の膠着した一面を突いていて、しかも不毛なところがよい。