四天王の邪鬼

東大寺にある四天王像である。左上から時計回りに持国天、増長天、多聞天、広目天。広目天は法華堂の、その他三体は戒壇院のものだ。 四天王像を前にすると、おれはいつも邪鬼が気になる。「邪鬼」であるから、邪(よこしま)なんだろうが、しかし、奈良時代…

米朝の「百年目」、志ん朝の「百年目」

金曜に休みをとって、自転車で東京を走った。上野から浅草へ出て、堀切から荒川の土手を走り、旧中川べりから門前仲町へと抜けた。雲間からぱっと日がさす瞬間が何度もあって、快かった。 桜(ソメイヨシノ)は場所によって二分咲きくらいだったり、ほぼ満開…

キング〇〇〇

映画「レヴェナント」を見た。アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督、レオナルド・ディカプリオ主演で2016年のアカデミー賞監督賞、主演男優賞を獲った映画である。 冒頭でディカプリオ演じる猟師が巨大なヘラジカを撃つシーンがある。それを見て、ふとキング…

痒みの知覚

おれはアトピー性皮膚炎で、かれこれ半世紀苦労してきた。生まれるとき、「あー、カイカイカイカイ。尻、カイー」とケツを掻きながらしかるべき場所から出てきたというのは、おれの生まれ育った小学校区でいまだに伝説になっているくらいである。 そんなわけ…

伝説の人

それぞれの社会や民族に伝説の人というのはあって、我が国であれば、おそらく、ヤマトタケル、源義経、織田信長、西郷隆盛といった人たちであろうと思う。歴史的影響でいえば、おそらく、源頼朝、豊臣秀吉、徳川家康、大久保利通といった人たちのほうが大き…

相撲は国技か

例によってのおれは、おれは、という話で申し訳ないのだが、相撲についておれの思うところを書く。例のやいのやいのの騒ぎはそろそろ収まったんだろうか。人の尻馬に乗ってやいのやいの言うのは嫌なので、今頃書く。 「日本の国技である相撲が〜」という言い…

自家用車と籠

おれは東京の目黒区に住んでいて、移動には主に電車か自転車を使っている。自動車を持っていたのはもはや四半世紀ほど前だ。 「『移動』の未来」(エドワード・ヒュームズ著、染田屋茂訳、日経BP社)という本を読んだせいもあるのだが、今日、自転車で山手通…

おれについての三つの事実

のっけから何だが、おれはまわりからウミウシ級の面倒くさがり、ダメ人間と思われているフシがある。面倒くさがりなのは事実だが、ダメ人間は違うと思うので、ここで白黒つけておきたい。 きちんと整理しよう。まず: ● やればできるが、めったにやらない。 …

茶室で◯談

茶道には興味があるのだが、縁がない。抹茶が体に合わないのと、手先が派手に不器用なせいだ(不器用な人間を集めて、国宝・曜変天目茶碗を使った茶会を開いたらどうなるか、想像してみていただきたい)。 しかし、茶室は好きで、見学する機会があると、いい…

ベートーベンの脂

全国推定800万人のベートーベン・ファンにはお詫び申し上げるが、おれはベートーベンが苦手だ。 聴くと、二日酔いのときにラードぎとぎとの料理を前にしたような心持ちになる。脂っこくて、大仰で、おまけに生真面目だから、胃腸虚弱のおれはなかなか折り合…

大向こうの掛け声

相変わらずの思いつきだが、ご容赦願いたい。 歌舞伎役者にはそれぞれ屋号があって、芝居のいい場面になると観客席から声がかかる。尾上菊五郎なら「音羽屋!」、市川團十郎や海老蔵なら「成田屋!」、片岡仁左衛門なら「松嶋屋!」、松本幸四郎なら「高麗屋…

イスラム帝国の誕生

興亡の世界史 イスラーム帝国のジハード (講談社学術文庫)作者: 小杉泰出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/11/11メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 講談社学術文庫の「興亡の世界史」シリーズは何冊か読んでいる。統一した編集方針に合わせて専門…

サムライ

いきなりだが、おれの好きなサムライ。サタデイ・ナイト・ライブのジョン・ベルーシだ。 自分をサムライに擬している人を見ると、なんだかなー、とおれはモヤモヤする。ある意味、ジョン・ベルーシ扮するsamuraiと大して変わらんのじゃないかと思う。 映画や…

おれと落語

iPodに落語を入れて、通勤の行き帰りによく聴いている。 あらためて考えると、おれは随分と落語に影響を受けた。おおげさに言えば、落語と出会わなかったら、違う物の見方、感じ方をして生きてきたかもしれない。 子供の頃からテレビの演芸ものは割と好きだ…

山手源氏物語

昔、山手線の「日暮里(にっぽり)」を「ひぐれのさと」と読むとみやびになると誰かが言ったのを、なぜだか突然思い出した。頭の中の混線状態がますます進んでいるらしい。 混線したまま、その手の名前が他にもないかなー、と、山手線の路線図を広げてみた。…

頑張れとTake it easy

人が何かに挑戦しようとしたり、困難に向き合っているとき、日本で一番よくかけられる言葉は「頑張れ」(頑張って、頑張れよ、等々)だろう。 同じ状況で、アメリカではよく「Take it easy.」と言われるという。「気楽にね」とか、「肩の力を抜いて」という…

仏教でクリスマスを真似るとどうなるか

12月に入って、街はクリスマス色である。 この時季になると毎年書くのだが、キリスト教徒でない者がクリスマスを祝うというのは少々奇妙ではないか。極論すると、不誠実な態度にも感じるのだ。 まあまあ、そんなかたいこと言わずに、というのが大方の意見だ…

不器用な魔法使い

これまで何回も書いたおぼえがあるけれども、おれはガキの時分から不器用で難渋してきた。 朝、歯を磨こうとすると、歯磨き粉を歯ブラシに乗せそこなうし、うまく乗せた途端に歯ブラシごと落っことす。服のボタンを止めるのが一苦労だし、鍵穴に鍵を差し込む…

ハロウィンと・・・

相変わらずのくだらない思いつきを書く。 もう三週間ばかり経ったけれども、今年も渋谷や六本木ではハロウィンの騒ぎが大変だったらしい。 おれの記憶(かなり怪しい)では、東京の繁華街でハロウィンが広まったのは五、六年くらい前だと思う。あくまで想像…

サイゴウドン

家にころがっているいいちこのラベルを見たら「下町のナポレオン」と書いてあって、あー、そういえば随分昔からこのキャッチフレーズを使い続けているよなー、と思った。 「下町のナポレオン」というフレーズは、もちろん、ブランデーの等級の「ナポレオン」…

記憶引き出し説

おれは今、五十歳で、ここ最近、物忘れが多くなった。 物忘れにも大きく分けてふたつある。名前が出てこないという場合と、やるべきことを忘れてしまう、やったかどうかを忘れてしまう場合だ。あれ、みっつかな。 名前が出てこないというのは、たとえば、人…

DNA

「DNA」という言葉が安易に使われていて、気になることがある。 遺伝の話をするのなら、何の問題もない。しかし、「代々受け継がれていくもの」→「DNA」という捉え方になると、甚だ怪しい。 典型的なケースが「日本人のDNA」という言い回しだ。感性とか文化…

A.I.は人間がモデルでないといかんのか。

無知というのは便利なもので、知らぬのをいいことに勝手なことをほざける。 おれはA.I.なんぞというややこしいものについて勉強したこともなければ、近づいたことすらない。何となく、会話や書かれたものを含めて人間の行動をインプットし、そのデータベース…

民主主義、民本主義、民権主義

政治思想というものをほとんど知らぬがゆえの厚かましさでふと思ったのだが、我が国において西洋のdemocracy(以下、デモクラシー)の訳語を「民主主義」としたのは、いささかしくじったんではないか。 字面通りに「民主主義」を眺めると、「民を主とする主…

断捨離と思い入れ

先日、妹からメールが来た。富山の実家が取り壊されるとのこと。 文面から妹がさみしく感じているのはわかった。一方、おれはというと、特に感慨はない。おれが高校を出るまで育った家であり、それからも盆暮れには帰っていたから何かあってもよさそうなもん…

アイロンがけの楽しみ

これを書くと、今の日本では知性・品性・感性の三点において馬鹿にされかねないのだけれども、おれは村上春樹の小説が苦手である。といっても、最後に読んだのはもう十数年前だが。 話の冒頭からビールだのコーラだのTシャツだのスパゲティーだのと続いて、…

ひるまちよるまち

秋祭りの季節で、東京の住宅街でもドンドコドンドコ、ワッショイワッショイと賑やかである。 一方で、夜勤の看護婦さんやコンビニ店員は昼間、やかましくて眠れたものではないだろうなー、と思う。 時々、近くの保育園がうるさいとか、寺の鐘がうるさいとか…

大相撲の危機?

休みの日に限るけれども、ひさしぶりに大相撲を見ている。幕内にもいろいろな力士が出てきて、まあまあ、面白い。 一方で、あれ、こんなんだっけな、とちょっと違和感も覚えている。投げが少ないのである。 試みに、昨日(九月場所中日、9月17日)の幕内の決…

自分の言葉に影響される

こんなふうに毎週駄文を書いていると、書く内容を思いつかない日もある。 そういうときに一番いけないのは「今日は書くことがない」と思ってしまうことだ。「書くことがない」と頭の中で言葉にしてしまうと、本当に書くことがなくなってしまう。 結果、「書…

1868年以降は東京時代と呼ぶべきではないか

我が国の歴史はご承知の通り、奈良時代、平安時代、鎌倉時代、室町時代、戦国時代、安土桃山時代、江戸時代・・・と区分される。 戦国時代を除けば、おおむね日本の多くを束ねたとされる政治権力の拠点の地名に「時代」をつけている。室町時代は京都の室町(…