培養象牙

培養肉なるものの研究が進んでいるそうで、肉の細胞を組織培養で増やすというものだ。今のところは価格が高くて実用とまではいかないそうだが、それでもこういうものは需要が見込める限りしつこく研究されるんだろう。 それでふと思ったんだが、象牙の培養は…

鯉は馬鹿ではないか

鯉というのは昔から目出度い魚とされていて、絵の題材としてよく描かれてきた。特に滝登りは知られた画題で、あれは上昇→出世、という連想のほか、鯉が龍の門をくぐると龍と化す、という言い伝えのせいでもあるらしい。 また、錦鯉の色鮮やかさも、鯉が特別…

別れの象徴

映画などで別れのシーンというと、昔から鉄道がよく使われる。港(船)や空港(飛行機)も多い。 あれは鉄道や船、飛行機だからいいのであって、タクシーだとおそらく今いちである。 なぜかというと、鉄道、船、飛行機は路線が決まっていて、変わらない、す…

おもてなしとシャワートイレ

シモの話で恐縮だが、大をした後の尻の処理の仕方には世界に大きくふたつの流儀がある。紙で拭く派と水で洗う派だ。 紙で拭く派はトイレットペーパーが主だが、昔の日本では落とし紙と呼ばれるものを使っていた。おれもほんの小さい頃には薄いちり紙状のもの…

緊張感とリラックス

「緊張感をもって臨んでいただきたい」 という言い回しがあって、社長や大臣などのエラい人の訓示によく出てくる。 こういう言葉が出てくる背景は何なのだろうか。 まずは緊張感をもって臨むと、よい結果が得られるという考え方があるのだろう。一方で、わざ…

「ちょっと」

ここのところ気になっているのだが、仕事方面というか、あらたまった場で「ちょっと」という言葉が多用されているように思う。「ちょっといいですか」、「ちょっと思ったのですが」「ちょっとそういうふうに、ちょっと言いたい」などと、いろんな言葉にくっ…

オセロと雁と空気を読む空気

おれは常々、日本の社会というのは大勢のおもむくところに自分もおもむくのを基本にしておるのでは、と思っている。他の多勢がそうしているから自分もそうするという行動原理があって、よく言えば従順だし、悪く言えば自分の判断の範囲が狭い。もちろん、あ…

カレーは語れない

ラーメンとカレーライスは日本で人気のあるツートップだと思うが、不思議とカレーライスはラーメンほど語られない。 ラーメンについてはどこそこのラーメン屋のスープがどうのこうと評論、批評めいたものがわんさとあるし、ラーメン屋を紹介するムックやブロ…

ナチュラル・ボーン・パッケージ

今朝、辛子明太子で飯をわしわし食いながら、ふと思った。「タラコ(明太子)はひとつひとつがきちんとパッケージされておる。実に素晴らしい」。 タラコの実体は小さな卵の集まりだが、それを薄皮で包み、お一人様向けに整形されている。素晴らしい。 東海…

解体ショー

近所のスーパーに行くと、マグロの解体ショーなるものがあったらしく、さばいたばかりの身を売っていた。ショー自体は見逃したが、「マグロの解体ショー」と聞いただけで「おお!」と血湧き肉躍るものがある。 調べてみると、出張してマグロを解体するという…

disる心

「disる」という言葉がここ何年かでよく使われるようになった。揶揄するとか、ひどく言うとか、あげつらうというような意味で、主にネット上での言語活動に使うが、この頃は一般世界にも踏み出してきたようだ。 例えば、今とっさにおれがdisるなら、こんなこ…

皮肉の効用

おれは皮肉な性分で、皮肉な見方をしたり、皮肉を言ったりするのがほとんど習い性になっている。 皮肉というのはスパイスのようなもので、少量ならあれやこれやを素晴らしく美味しくするが、使いすぎるとぶちこわしてしまう。スパイスは全然平気という人もい…

万国博覧会への提案

2025年に大阪で万博が開かれるそうで、1964年の東京オリンピック→1970年の大阪万博、2020年の東京オリンピック→2025年の大阪万博と、なんだかひとめぐりするみたいである。60年近く間が空いているから、還暦に近い。 しかし、時代背景は当然変わっているわけ…

現代お化け

物が生きたものとして化けるということが日本には昔から伝わっているようで、たとえば、唐傘お化け、提灯お化けなんていうところが有名だ。うろ覚えだが、確か、中国の怪談にも物が化ける話があったと思う。欧米についてはよく知らないが、あまり聞いたり読…

菱形論

世の中には物事を大雑把にふたつに分けて議論するクセのようなものがあって、たとえば、文系・理系なんて分け方がそうだ。 いろいろな学問分野を見るともちろん多種多様であって、しかもひとつの学問分野の中でも人によってアプローチの仕方は随分と違ってい…

議会と建築空間

先週、イギリスの庶民院(The House of Commons。下院)のムービーが、英語があまりわからなくても面白いと書いた。 そのテレビショウ的な面白さはジョン・バーコウ議長の生き生きとした仕切りぶりによるところが大きいのだろう。EUではブレグジット騒ぎでイ…

イギリス庶民院のムービーが楽しい

イギリスではEC離脱が3月31日に迫って大騒ぎらしい(いわゆるブレグジット)。メイ首相がECとまとめた合意案が庶民院(The House of Commons。日本では「下院」とも呼ばれるが、「庶民院」のほうが歴史が表れていておれは好きだ)で否決された。ECは再交渉な…

日本語の特性 - 一人称、二人称の豊富さ

日本語の特性のひとつに、一人称、二人称がたくさんあることが挙げられる。 一人称の言葉を思いつくままに書くと: 私、僕、俺、おいら、あたい、小生、我輩、自分、わし、あっし、手前、やつがれ、朕、拙者 まだまだあるだろう。 二人称: 君、あなた、あん…

日本語文の特性 - 語順の自由さ

前回、日本語は修飾する言葉が先に来るせいで複雑な構造の文章を書くのに向いていない、述語が最後にくるので文を読み終わらないと理解できないと書いた。 しからば(鹿騾馬)、日本語は言語として劣っているのかというと、そう簡単には言えない。たとえば、…

日本語文の特性 - 修飾が先、述語が最後、の不便さ

おれはコピーライターという仕事をしている。広告宣伝の仕事はそれほど多くなく、主に企業に頼まれて雑多な文章を書いている。現代の代書屋である。 代書屋であるからして、文章に接したり、自分でひねくり出したりするのが飯のタネだ。飯のタネだから、日本…

方言の浸透と吉本

もうお亡くなりになったが、アートディレクターの長友啓典さんが大阪の笑いについて語るのを聞いたことがある。長友さんは大阪の出身(1939年生まれ)だが、戦後の大阪は今のようにお笑い全盛ではなく、日常会話も「まずは笑い」というふうではなかったとい…

ライト・プレイス、ライト・タイム・・・

宮崎市定著「中国史」を読んでいる。 中国史(上) (岩波文庫)作者: 宮崎市定出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/05/16メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る 宮崎市定(みやざき・いちさだ)先生は、内藤湖南らの京都大学東洋史学を継承、発…

法の下の冷酷

おれは今上天皇と面識がなく、直接話をうかがったわけではないが(当たり前である)、天皇、あるいは皇族であることは随分と不自由な身の上であろうと思う。 前にも書いたが、たとえば、天皇は自分名義のクレジットカードもつくれなければ、ECサイトで物を買…

ケツをまくる

「ケツまくって逃げる」という言い回しがある。江戸時代の町人が、走るとき、着物を尻からげにしたところから来た表現なのだろう。 洋装が普通になった現代では、なかなか実行しにくい格好である。 男がケツをまくって逃げようとするとズボンをおろさねばな…

人間の構成

おれは過敏性腸症候群とアトピーを患っていて、どちらもなかなか思いにまかせぬものである。過敏性腸症候群は自律神経系統の、アトピーはもっぱら免疫系統の不調から来る。おれの一生は腹痛と痒みとの戦いであると言っても過言ではない。いわゆるQOLのかなり…

大阪弁を翻訳する

昔、ひさうちみちおの漫画に大阪弁を東京言葉に変えるというのがあって、大笑いした覚えがある。たとえば、映画の喧嘩のシーンでよく出てくる「お前ら、なんぼのモンじゃい!」を東京言葉に直すと「君たち、いくらのものなんだい?」になるんだそうだ。 テレ…

相撲マフィア

大相撲で感心するのは、数年ごとに大騒ぎを起こしては沈静化し、忘れた頃にまた大騒ぎを起こすことだ。 日馬富士の貴ノ岩への暴行事件に端を発し、貴乃花が日本相撲協会を退職するまでの流れはある意味、見事だった。あれよあれよ、という間に思いがけぬ方向…

人間相対性理論

人の悪口を言うのは楽しい。古今亭志ん朝も「人の悪口を言いながら酒を飲むほど楽しいことはありませんナ」と言っている。 しかしーーこれをお読みの方の周囲にもいると思うのだがーーやたらと悪口を言う人もいて、げんなりすることがある。手当たり次第とい…

だけ派の人々

誰が書いていたのか忘れたが、おれの好きな話にこんなのがある。 その人が「複雑系とは何なのだ。単純に言ってくれ」と知人に訊ねたら、「まあ、単純に言うと物事は複雑だ、ということだ」と答えたという。 世の中のいろんな事柄というのはたいがい複雑なも…

クロサワランド

ふと出来心でディズニー映画の「パイレーツ・オブ・カリビアン」の二作目を見た。半分くらいまで頑張ったがついにノレず、見るのをやめてしまった。 おれはディズニー映画と相性が悪く、あまり面白いと思ったことがない。冒頭の、ディズニーランドのお城みた…