何トカ人といってもいろいろだ

今週は金曜に仕事に出ただけで、後は休んでいた。 前半は京都の実家に行った。おれの生まれ育ちは富山なので、「帰った」という感じはしない。 一日、奈良で遊んだ。 奈良公園は鹿のフンがにおって往生した。保護されて数が増えすぎているとも聞く。フンの量…

透視能力

透視能力というものが本当に存在するのかどうかは知らない。 おれは今ちょうど人間五十年下天のうちにくらぶればなんだが、透視能力は、ガキの時分のSF小説だの漫画だのテレビのヒーロー物だのによく出てきた。よく知らないが、今の少年少女にとっても事情は…

驚きの白さに

ヘンな日本美術史作者: 山口晃出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2012/11/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (51件) を見る 芸術家や芸人が、その芸術なり芸事に取り組んでいる瞬間に感じることを上手に説明し…

ダメを喜ぶ心

「千里の道を一歩目からすっ転ぶ」。おれが昔につくった言葉だ。割に気に入っている。「期待を一身に背負って、そのまま前に倒れる」という言葉もつくった。最近、「行き当たり、ばったり」という言葉を思いついて喜んだのだが、これは以前に思いついた言葉…

社会と世の中

おれは「世の中」という言葉が好きで、いっそ結婚したいくらいだ。というのはさすがに嘘だが、好きだというのは本当である。 世の中という言葉は人のにおいのするところがいい。これが「社会」となるとどうも固苦しく、そこで息づいている人の感じがしない。…

呼び捨てでよいのか

サイトウ・キネン・オーケストラというクラシックの楽団があって、おれもCDを一枚持っている。小澤征爾がよく指揮をすることで有名だ。楽団といっても常設ではなく、音楽家で教育者の齋藤秀雄の弟子筋、あるいは小沢征爾(彼も齋藤秀雄の弟子)の知人の演奏…

伝説化のプロセス

先週、司馬遷の「史記」のエピソードには神話、伝説、事実の3つのフェーズがあると書いた。そして、読んでいて最も面白いのは伝説である、と。 考えてみれば、当たり前である。伝説というのはいろんな人々の間で話が面白く伝わっていくうちに形成されていく…

神話、伝説、事実

前回書いた史記は漢の司馬遷が紀元前91年頃に完成させたものだそうだ。黄帝、堯、舜などの五帝に始まり、司馬遷の仕えた武帝の時代まで記している。 読むと、古い話から順に、「神話」、「伝説」、そして司馬遷が直接体験したり耳にしたりした「事実」の3つ…

史記の構成

司馬遷の「史記」を読んだ。といっても、おれには原語で読む知識はなく、漢文訓読点で読む能力もなく、小竹文夫・小竹武夫による現代語訳を読んだ。 史記 全8巻セット (ちくま学芸文庫)作者: 司馬遷出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1997/07メディア: 文庫…

感情と倫理

タイトルを書いて、笑ってしまう。大げさである。まあ、おれの書くことだから、内容は大したことにならないはずだ。 このところ、「知情意」という視点で物事をとらえることを時々してみている。知は理屈、知性。情は感情、感性。意は意志とも言えるし、道徳…

空気を読むという行為

会議などで「空気を読む」ということがよく行われる。白状すると、おれも割に読む。読んだ後、どうふるまうかはいろいろである。 あの「空気を読む」という行為、どういう仕掛けになっているのかなあ、と時折、考えることがあった。山本七平に「『空気』の研…

間が持たない

まずは黙ってこのムービーを見ていただきたい(別にわめきながらでもかまわないが)。 スティーブ・カッツという人の動画だそうだ。もしかしたら有名な人なのかもしれないし、そうでもないのかもしれない。 皮肉がキツく、ユーモアがあり、品とどこかにやさ…

桜と梅

東京では花見の季節を終えて早ひと月以上になる。今となってみれば、季節も落ち着いて、あの狂乱のアラエッサッサー状態はなんだったのかと思う(おれもあの時期にはいささか心浮かれるのだが)。 おれは桜も好きだが、年をとって、梅もいいなあ、と感じるよ…

米朝とあの世

桂米朝の落語が好きで、よく聞く。 米朝は何年か前に亡くなり、そのとき九十くらいだったから、おれはほとんど同時代体験をしていない。何かの落語の会で他の落語家と座談する姿を見かけたくらいである。噺は、もっぱらCDからiPodに落として聞いている。 だ…

ジョナ・ロムーの葬儀

昨晩は早く寝ようと思ったのだが、ふとしたきっかけでジョナ・ロムーの動画やら何やらを見出したら止まらなくなってしまった。 ジョナ・ロムーはニュージーランドのラグビー選手である。90年代のオールブラックス(ラグビーのニュージーランド代表)で大活躍…

納豆世界

朝、ネバネバ糸を引く納豆飯をワシワシ食いながら、ふと思った。 「納豆菌が突然変異で大増殖を始めたら、世界はどうなるであろうか?」 頭の奥にはJ.G.バラードのSF小説「結晶世界」があった。 「結晶世界」はあらゆるものが文字どおり結晶化していく世界の…

夢のアナキズム

先週に続いてアナキズムの話。 アナキズムの理想とする世界について歌った有名な曲がある。ジョン・レノンの「イマジン」だ。 Imagine there's no countriesIt isn't hard to doNothing to kill or die forAnd no religion, tooImagine all the peopleLiving…

アナキズムは優しく、美しい

アナキズム入門 (ちくま新書1245)作者: 森元斎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2017/03/06メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見る 森元斎の「アナキズム入門」を読んだ。5人のアナキスト、プルードン、バクーニン、クロポトキン、ルクリュ、マフ…

水滸伝の明るさ、日本の物語の湿り気

先週に続いて水滸伝の話。 おれが水滸伝を好きなのは、その明るさ、楽天性のゆえもある。 もちろん、水滸伝は長い、長い物語だから、中には暗い話や陰惨な話もある。主人公達(林冲、宋江、武松……)が人に陥れられたり、裏切られたりもする。しかし、基調は…

松枝茂夫編訳版・水滸伝

松枝茂夫編訳の「岩波少年文庫 水滸伝」を読んだ。 読み進めるうちに、「ああ、子どもの頃に読んだ水滸伝はこれだったのだな」と気がついた。小学生だったか、中学生だったか、市の図書館で借りて、とても面白く、夢中になって読んだことを思い出した。 おれ…

らくだ

落語が好きで、よく聴く。あまり嫌いな噺(ネタ)はないのだが、例外のひとつが「らくだ」である。嫌いというより、苦手というほうが近いかもしれない。 「らくだ」はいろいろな落語家がやっている。大まかなストーリーはこうだ。「らくだ」と呼ばれる長屋の…

鎖国と教育

タイトルに「鎖国と教育」と書いたからといって、もちろん、ターヘル・アナトミアだの緒方洪庵だのについて書こうというわけではない。おれにはそんな実力は一切ない。 文部科学省が小中学校の学習指導要領の改訂を進めていて、一時、「鎖国」という言い方を…

鹿児島弁

残念ながら鹿児島に行ったことがなく、今の鹿児島弁がどういうものか知らない。 その一方で、幕末から明治維新を扱った時代劇や時代小説はたくさんあるから、おれの中での鹿児島の言葉はドラマや小説で西郷さんが使うようなもの、薩摩弁というか、いっそ西郷…

靴下の墓場

洗濯物を干しているとき、よく靴下の片方がなくなっていることに気づく。洗濯機のまわりや、物干しまでの動線を探してまわるのだが見つからない。 この「靴下がなぜか片方だけなくなる現象」は国際的な問題であるらしく、イギリスでの調査によると、イギリス…

杉野兵曹長の銅像

おれは古い落語の録音をよく聞く。戦後の志ん生・文楽あたりからで、幸い戦後は落語がラジオの重要なプログラムだったから録音がいろいろと残っており、CDがたくさん出ている。 戦後しばらくの落語で、女が横倒れにくずおれる姿を、まれに「杉野兵曹長の銅像…

東京遷都

相変わらずの思いつきを書く。毎度ながら、ここに書き散らしたことに一切責任をとるつもりはない。 昨日、自転車で皇居のわきを走りながら、「明治維新の際、なぜ都を京から東京へ移したんだろうか?」と考えた。大政奉還の後、京都をそのまま都にする選択肢…

インターネットの知情意

時折、インターネットについて「集合知」とか「知の共有」がどうのという議論に出くわすことがある。 個々の議論をどうこういうつもりも実力もないのだが、どうして「知」というテーマばかりが出てくるのか、ちょっと不思議ではある。 人間の精神活動を「知…

翻案 冥途の飛脚

昨日、誘われて、国立劇場の文楽公演を見てきた。ここ数年、文楽にはご無沙汰していた。 二部の「曽根崎心中」、三部の「冥途の飛脚」を見た。どちらも近松門左衛門の心中物である(「冥途の飛脚」は後段で心中未遂に終わるそうだが、おれは未見)。五時間心…

可朝の米朝評

少し前に柳家小さんと桂米朝と立川談志のCDボックスを買って、今は順繰りに聴いている。どんなに好きな落語家でも立て続けに聴くと飽きてくるから、このローテーション方式はお勧めである。 ついでに、雑誌ユリイカの米朝特集号も買った。2015年6月号だから…

饒舌-トーカティブ-

遠藤周作の小説「沈黙」をマーティン・スコセッシ監督が映画化して、ちょっとした話題になっているようだ。 まだ見ていないが、スコセッシ監督の映画はどれも面白いから、期待できる。 おれが遠藤周作の「沈黙」を読んだのは数十年も前だが、おおまかなスト…

メリー・クリスマス、ミスター・ローレンス

大島渚監督の「戦場のメリー・クリスマス(Merry Christmas, Mr. Lawrence)」を見た。 前に見たのは大学生か、社会人になりたての頃だと思うから、おおよそ三十年ぶりである。そのときは、坂本龍一のテーマ曲は印象的だったが、ビートたけしの乱暴さと坂本…

黄色い洟

今日はいささか汚い話なので、その手の話題が苦手な方にはご容赦いただきたい。 何かを人にたとえて考えてみることがあって、退屈しのぎになる。蝿でも電柱でもカーテンレールに引っかけたハンガーでも、「この人はどういう心持ちなのであろうか」と想像する…

神仏を信じること

おれは若い頃、理屈っぽい嫌な野郎で、「神なんかいるわけがない」などとうそぶいていた。 しかし、この年になると(先日、生誕半世紀を迎えた)、人間の考え(正しくはおれの考え)には限界があるとわかってくるし、またいささかこずるく立ち回ることもでき…

虫歯を治す薬

先日、人と話していて、なかなか面白い設問に至った。 もしあなた(これをお読みのあなた)が虫歯を一発で治す薬と歯周病を一発で治す薬を発明したら、発表すべきだろうか? 発表すべきでないだろうか? もう少し細かく設定すると、それぞれ虫歯菌と歯周病菌…

人類普遍の原理?

若い頃というのは一般に社会経験が少なく、おまけに血気盛んであるからして、理屈に走りがちなところがある。老けてくると、なんやかやと体験してくるし、心身にいろいろとガタがくるせいもあって、経験というもののありがたみがわかってくる。 いきなりなん…

イチョウの物語

今年の秋は暖かいせいか、あるいは毎年こんなものだったか、東京ではようやくイチョウが黄色く染まり、散り始めている。 イチョウというのはなかなか数奇な運命をたどってきた植物であるらしい。以下はWikipediaの記述をただまとめただけだが、よろしければ…

晴れ男(女)と雨男(女)

閃くというほどではないが、ふと何かに思い当たることがある。 昨日も自転車で山手通りを走っていて、ふと「晴れ男というのは、あれは要するにポジティブ思考ではないか」と思い当たった。 晴れ男(あるいは晴れ女。煩雑なので、以下、晴れ男で)というのは…

運動と労働

自転車で荒川の貯水池(彩湖)に行ってきた。 行くのは初めてである。彩湖のまわりはなかなかきれいな公園として整備されてあった。おれにとっては運悪く、公園の周回路はマラソン大会のため、通行禁止になっていた。仕方がないので、荒川の土手を走った。 …

蠟小平と貧しさ

タイトルの「とうしょうへい」の「とう」の字が変な字に化けているかもしれない。書体のコードの問題らしい。書きたいのは左が「登」で右がこざとへんである。 さて、前回に引き続き、蠟小平の話。 中国が文化大革命(「階級闘争」の名のもとの、広範な社会…

蠟小平

エズラ・F・ヴォーゲルの「蠟小平」を読んだ。現代中国の父 トウ小平(上)作者: エズラ・F・ヴォーゲル,益尾知佐子,杉本孝出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2013/09/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る現代中国の父 トウ小平(下…

私と憲法

タイトルを書いたら、昔の社会党の作文みたいで笑ってしまった。 おれは1966年生まれだから、現行憲法の施行(1947年)から約20年後に生まれたことになる。 改憲論者のうち少なからぬ人が「現行憲法はアメリカから押し付けられたものだから、自主憲法を制定…

転がる人

毎年、日本ではノーベル文学賞を村上春樹が受賞するとかしないとか話題になる。 ノーベル文学賞がどういう質(量の話ではない)のもので、国際的に(つまり、スウェーデン人やアメリカ人やフランス人やイギリス人やイラン人やアルゼンチン人やインドネシア人…

意識高いけ?

「意識高い系」という言葉があって、幸か不幸かおれはそう呼ばれたことがないが、いやらしい語感である。 「いやー、あなたは意識が高い!」と言われれば、おそらくは褒め言葉だ。しかし、「いやー、あなたは意識が高い系!」と言われたら、不穏な空気が流れ…

祭り

相変わらず土日は雨が降らない限り自転車でそこらへんを走り回っている。 素朴な感想で恐縮だが(おれは素朴なのだ)、いつも感心するのは自動車の多さである。これだけ自動車が大量に走り回って、よく石油がなくならないものだ、と思う。 いや、自動車に限…

破壊

先週の休み、家の前の通りは電柱づたいに提灯が列となっていた。秋祭りであるらしい。 おれは「戦火の馬」というDVDを借りて、家に帰った。週末に酒を飲みながら家で映画を見るのが習慣である。 「戦火の馬」は第一次世界大戦の軍馬の運命を扱ったスピルバー…

駐輪禁止

おれの住んでいる町には商店街があって、なかなか流行っている。人通りが多い。 商店街と直角に交わる通りは駐輪禁止なのだが、構わずに多くの自転車がとまっている。駐輪場もないことはないのだが、ちょっと不便なところにあり、ふらっと来る人たちは商店街…

さんまと志ん生

先週に続いて、明石家さんまについて思うことを書く。 さんまは、驚異的な場回しのよさ、どんな相手でも笑いに持っていくトーク術で知られている。あのテクニックをさんまはどういうふうに身につけたのだろうか。 番組の中で、特にお笑い芸人を相手にすると…

明石家さんまと落語家の了見

明石家さんまは落語家の了見を持っていると思うのである。 のっけからいきなりだが、ここはおれが思うことをおれがほざき散らす場であるからして、お許しいただきたい。 ここで言う落語家の了見というのはおれが勝手にそう思っている了見である。世の中や人…

進化の速度

生物の進化と、人間の科学技術、モノ、サービス、生活の進化について、もう少し書いてみる。 この数百年の間の、科学技術、モノ、サービス、生活様式の進化の速度は驚異的だとおれは思う。人類の文明の歴史をどこから数え始めればいいのかわからないが、仮に…

ふたつの進化

このところ、カンブリア紀についての本を続けて読んでいる。 カンブリア紀は5億4200万年前から4億8800万年前までの約5千万年間のことで、この期間に動物は爆発的な進化を遂げたとされる。その前のエディアカラ紀には海綿かサンゴのような自力ではほとんど動…