民主主義、民本主義、民権主義

政治思想というものをほとんど知らぬがゆえの厚かましさでふと思ったのだが、我が国において西洋のdemocracy(以下、デモクラシー)の訳語を「民主主義」としたのは、いささかしくじったんではないか。 字面通りに「民主主義」を眺めると、「民を主とする主…

断捨離と思い入れ

先日、妹からメールが来た。富山の実家が取り壊されるとのこと。 文面から妹がさみしく感じているのはわかった。一方、おれはというと、特に感慨はない。おれが高校を出るまで育った家であり、それからも盆暮れには帰っていたから何かあってもよさそうなもん…

アイロンがけの楽しみ

これを書くと、今の日本では知性・品性・感性の三点において馬鹿にされかねないのだけれども、おれは村上春樹の小説が苦手である。といっても、最後に読んだのはもう十数年前だが。 話の冒頭からビールだのコーラだのTシャツだのスパゲティーだのと続いて、…

ひるまちよるまち

秋祭りの季節で、東京の住宅街でもドンドコドンドコ、ワッショイワッショイと賑やかである。 一方で、夜勤の看護婦さんやコンビニ店員は昼間、やかましくて眠れたものではないだろうなー、と思う。 時々、近くの保育園がうるさいとか、寺の鐘がうるさいとか…

大相撲の危機?

休みの日に限るけれども、ひさしぶりに大相撲を見ている。幕内にもいろいろな力士が出てきて、まあまあ、面白い。 一方で、あれ、こんなんだっけな、とちょっと違和感も覚えている。投げが少ないのである。 試みに、昨日(九月場所中日、9月17日)の幕内の決…

自分の言葉に影響される

こんなふうに毎週駄文を書いていると、書く内容を思いつかない日もある。 そういうときに一番いけないのは「今日は書くことがない」と思ってしまうことだ。「書くことがない」と頭の中で言葉にしてしまうと、本当に書くことがなくなってしまう。 結果、「書…

1868年以降は東京時代と呼ぶべきではないか

我が国の歴史はご承知の通り、奈良時代、平安時代、鎌倉時代、室町時代、戦国時代、安土桃山時代、江戸時代・・・と区分される。 戦国時代を除けば、おおむね日本の多くを束ねたとされる政治権力の拠点の地名に「時代」をつけている。室町時代は京都の室町(…

最初に自殺した人

深刻なテーマをおれのような馬鹿者が扱って申し訳ないのだが、人類史上、最初に自殺した人というのはどういう人で、どういう理由だったのだろうか。 自殺自体はかなり古く、中国の史記にはよく「自刎」という言葉が出てくる(自分で首をハネるということらし…

何トカ人といってもいろいろだ

今週は金曜に仕事に出ただけで、後は休んでいた。 前半は京都の実家に行った。おれの生まれ育ちは富山なので、「帰った」という感じはしない。 一日、奈良で遊んだ。 奈良公園は鹿のフンがにおって往生した。保護されて数が増えすぎているとも聞く。フンの量…

透視能力

透視能力というものが本当に存在するのかどうかは知らない。 おれは今ちょうど人間五十年下天のうちにくらぶればなんだが、透視能力は、ガキの時分のSF小説だの漫画だのテレビのヒーロー物だのによく出てきた。よく知らないが、今の少年少女にとっても事情は…

驚きの白さに

ヘンな日本美術史作者: 山口晃出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2012/11/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (51件) を見る 芸術家や芸人が、その芸術なり芸事に取り組んでいる瞬間に感じることを上手に説明し…

ダメを喜ぶ心

「千里の道を一歩目からすっ転ぶ」。おれが昔につくった言葉だ。割に気に入っている。「期待を一身に背負って、そのまま前に倒れる」という言葉もつくった。最近、「行き当たり、ばったり」という言葉を思いついて喜んだのだが、これは以前に思いついた言葉…

社会と世の中

おれは「世の中」という言葉が好きで、いっそ結婚したいくらいだ。というのはさすがに嘘だが、好きだというのは本当である。 世の中という言葉は人のにおいのするところがいい。これが「社会」となるとどうも固苦しく、そこで息づいている人の感じがしない。…

呼び捨てでよいのか

サイトウ・キネン・オーケストラというクラシックの楽団があって、おれもCDを一枚持っている。小澤征爾がよく指揮をすることで有名だ。楽団といっても常設ではなく、音楽家で教育者の齋藤秀雄の弟子筋、あるいは小沢征爾(彼も齋藤秀雄の弟子)の知人の演奏…

伝説化のプロセス

先週、司馬遷の「史記」のエピソードには神話、伝説、事実の3つのフェーズがあると書いた。そして、読んでいて最も面白いのは伝説である、と。 考えてみれば、当たり前である。伝説というのはいろんな人々の間で話が面白く伝わっていくうちに形成されていく…

神話、伝説、事実

前回書いた史記は漢の司馬遷が紀元前91年頃に完成させたものだそうだ。黄帝、堯、舜などの五帝に始まり、司馬遷の仕えた武帝の時代まで記している。 読むと、古い話から順に、「神話」、「伝説」、そして司馬遷が直接体験したり耳にしたりした「事実」の3つ…

史記の構成

司馬遷の「史記」を読んだ。といっても、おれには原語で読む知識はなく、漢文訓読点で読む能力もなく、小竹文夫・小竹武夫による現代語訳を読んだ。 史記 全8巻セット (ちくま学芸文庫)作者: 司馬遷出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1997/07メディア: 文庫…

感情と倫理

タイトルを書いて、笑ってしまう。大げさである。まあ、おれの書くことだから、内容は大したことにならないはずだ。 このところ、「知情意」という視点で物事をとらえることを時々してみている。知は理屈、知性。情は感情、感性。意は意志とも言えるし、道徳…

空気を読むという行為

会議などで「空気を読む」ということがよく行われる。白状すると、おれも割に読む。読んだ後、どうふるまうかはいろいろである。 あの「空気を読む」という行為、どういう仕掛けになっているのかなあ、と時折、考えることがあった。山本七平に「『空気』の研…

間が持たない

まずは黙ってこのムービーを見ていただきたい(別にわめきながらでもかまわないが)。 スティーブ・カッツという人の動画だそうだ。もしかしたら有名な人なのかもしれないし、そうでもないのかもしれない。 皮肉がキツく、ユーモアがあり、品とどこかにやさ…

桜と梅

東京では花見の季節を終えて早ひと月以上になる。今となってみれば、季節も落ち着いて、あの狂乱のアラエッサッサー状態はなんだったのかと思う(おれもあの時期にはいささか心浮かれるのだが)。 おれは桜も好きだが、年をとって、梅もいいなあ、と感じるよ…

米朝とあの世

桂米朝の落語が好きで、よく聞く。 米朝は何年か前に亡くなり、そのとき九十くらいだったから、おれはほとんど同時代体験をしていない。何かの落語の会で他の落語家と座談する姿を見かけたくらいである。噺は、もっぱらCDからiPodに落として聞いている。 だ…

ジョナ・ロムーの葬儀

昨晩は早く寝ようと思ったのだが、ふとしたきっかけでジョナ・ロムーの動画やら何やらを見出したら止まらなくなってしまった。 ジョナ・ロムーはニュージーランドのラグビー選手である。90年代のオールブラックス(ラグビーのニュージーランド代表)で大活躍…

納豆世界

朝、ネバネバ糸を引く納豆飯をワシワシ食いながら、ふと思った。 「納豆菌が突然変異で大増殖を始めたら、世界はどうなるであろうか?」 頭の奥にはJ.G.バラードのSF小説「結晶世界」があった。 「結晶世界」はあらゆるものが文字どおり結晶化していく世界の…

夢のアナキズム

先週に続いてアナキズムの話。 アナキズムの理想とする世界について歌った有名な曲がある。ジョン・レノンの「イマジン」だ。 Imagine there's no countriesIt isn't hard to doNothing to kill or die forAnd no religion, tooImagine all the peopleLiving…

アナキズムは優しく、美しい

アナキズム入門 (ちくま新書1245)作者: 森元斎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2017/03/06メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見る 森元斎の「アナキズム入門」を読んだ。5人のアナキスト、プルードン、バクーニン、クロポトキン、ルクリュ、マフ…

水滸伝の明るさ、日本の物語の湿り気

先週に続いて水滸伝の話。 おれが水滸伝を好きなのは、その明るさ、楽天性のゆえもある。 もちろん、水滸伝は長い、長い物語だから、中には暗い話や陰惨な話もある。主人公達(林冲、宋江、武松……)が人に陥れられたり、裏切られたりもする。しかし、基調は…

松枝茂夫編訳版・水滸伝

松枝茂夫編訳の「岩波少年文庫 水滸伝」を読んだ。 読み進めるうちに、「ああ、子どもの頃に読んだ水滸伝はこれだったのだな」と気がついた。小学生だったか、中学生だったか、市の図書館で借りて、とても面白く、夢中になって読んだことを思い出した。 おれ…

らくだ

落語が好きで、よく聴く。あまり嫌いな噺(ネタ)はないのだが、例外のひとつが「らくだ」である。嫌いというより、苦手というほうが近いかもしれない。 「らくだ」はいろいろな落語家がやっている。大まかなストーリーはこうだ。「らくだ」と呼ばれる長屋の…

鎖国と教育

タイトルに「鎖国と教育」と書いたからといって、もちろん、ターヘル・アナトミアだの緒方洪庵だのについて書こうというわけではない。おれにはそんな実力は一切ない。 文部科学省が小中学校の学習指導要領の改訂を進めていて、一時、「鎖国」という言い方を…